テクニクス「SC-C70MK2」は、新生活を豊かに彩る素敵なオールインワンシステムだ。ラジオからハイレゾ、レコードまでこの音で楽しめる幸せを実感する(前編)

テクニクス「SC-C70MK2」は、新生活を豊かに彩る素敵なオールインワンシステムだ。ラジオからハイレゾ、レコードまでこの音で楽しめる幸せを実感する(前編)

WEB「Stereo Sound ONLINE」https://online.stereosound.co.jp
2021年03⽉05⽇掲載

執筆:和田博巳

4月からの新生活を彩る新しいオーディオシステムとして、あるいは使い勝手の良いサブシステムとして、音質に優れ、コンパクトでスタイリッシュなオールインワン(一体型オーディオシステム)を紹介しよう。

紹介するテクニクス「SC-C70MK2」は昨年の10月23日の発売。したがって「知ってるよ」という方もいらっしゃるかと。筆者もこれまで数回本機の試聴の機会を得て、こういう素敵なオールインワンが我が家のリビングにもあったらなあと思っていた。

●一体型オーディオシステム
SC-C70MK2 ¥100,000(税別)※

SC-C70MK2
  • ●スピーカー形式:2ウェイ2スピーカー、密閉型+サブウーファー
  • ●使用ユニット:20mmドーム型トゥイーター、80mmコーン型ウーファー、120mmコーン型サブウーファー
  • ●アンプ部定格出力:30W×2(フロントスピーカー、1kHz、THD 1.0%、6Ω、20kHz LPF、JEITA)、40W(サブウーファー、70Hz、THD 1.0%、4Ω、20kHz LPF、JEITA)
  • ●再生可能ディスク:CD、CD-R、CD-RW(フォーマットはCD-DA)
  • ●Bluetooth対応コーデック:AAC、SBC
  • ●接続端子:デジタル音声入力(光)、3.5mmピンジャック、3.5mmヘッドホン出力、USB Type-A(対応メモリー容量最大2Tバイト)、LAN端子(100BASE-TX、10BASE-T)、他
  • ●USB/ネットワーク再生時サポートフォーマット:WAV/AIFF(32、44.1、48、88.2、96、176.4、192、352.8、384kHz/16、24、32ビット)、FLAC/ALAC(32、44.1、48、88.2、96、176.4、192、352.8、384kHz/16、24ビット)、DSD(2.8、5.6、11.2MHz)、AAC(32、44.1、48、88.2、96kHz/16〜320kbps)、MP3(32、44.1、48kHz/16〜320kbps)
  • ●特長:FM/AMチューナー内蔵、自動音質調整「Space Tune Auto」、Chromecast Built-in、音楽ストリーミング対応(インターネットラジオ、Spotify Connect、Deezer)、他
  • ●消費電力:45W(待機時・Network Standby Off・時計表示あり 約1.3W)
  • ●寸法/質量:W450×H143×D280mm/約8.0kg
  • (※)2023年2月1日より¥130,000(税込)に価格変更
SC-C70MK2背面の端子部につないだFM/AM用のアンテナ
FM/AM用のアンテナも付属している。本体背面の端子部につないだところ、ビル5Fにある編集部でも快適に受信できた

リビングルーム用にサブシステムを考えたとき、あれもこれもと欲が出てつい大袈裟なものになりがちである。しかし、筆者は本機を自宅のリビングルームで聴いて、コンパクトなボディに豊富な機能を搭載、しかも音がよいことにとても満足した。これなら本機をメインシステムとして使っても期待を裏切られることはないだろう。以下は本機の試聴レポートだが、今回は前編と後編(3月12日公開予定)の2回に分けてお送りする。

テクニクスの一体型オーディオシステム、OTTAVA ƒ(オッターヴァフォルテ)は、初代モデルの「SC-C70」が2017年の発売。従ってSC-C70MK2はその後継機となる。まずはデザインから見てゆこう。

全体的なフォルムは初代モデルと同じだが、カラーはシルバーとブラックの2色展開となり、さらにシルバーモデルは下部のボディが黒からダークシルバーとなって洗練度アップ。ブラックモデルの方も精悍なイメージで魅力大だ。

自宅リビングでCDからラジオ、ネット音源、アナログレコードまで楽しんでもらっている和田さん
今回は和田さんのご自宅リビングにSC-C70MK2を持ち込んで、CDからラジオ、ネット音源、アナログレコードまでじっくり楽しんでもらっている。このまま置いておきたいとは和田さんの率直な感想

スピーカー部分は、前モデルの2cmトゥイーター+8cmウーファー、そして底面に12cmサブウーファーという2.1ch構成に変わりはないが、本機ではドームトゥイーターのボイスコイルがアルミに銅をコーティングした線材となり、ドーム振動板の形状も見直されている。

さらにトゥイーター前面の音響レンズもより音の拡散性に優れた形状に変更され、ウーファー振動板についてもパルプコーンにマイカを混入して強度をアップ、さらにボイスコイルも軽量化が図られた。

本機のアンプ部は、テクニクスのフルデジタルアンプ「JENO Engine」を搭載。2基を使って左右のスピーカーとサブウーファーをバイアンプ駆動。もう1基は「JENO Engine」搭載のDSPを活かして、新たに開発された音場補正機能「Space Tune Auto」用として使用するが、音場補正については後ほど説明しよう。

ソースは、CD、ネットワーク再生、さらに「Chromecast built-in」に対応し、さまざまな音楽ストリーミングサービスを楽しむことができる。FM/AMラジオやインターネットラジオ、さらにBluetooth/AirPlay2にも対応し、スマホなどに保存した音楽をワイヤレスで再生することが可能。入力はUSB Type-A、光デジタル入力、3.5mmアナログ入力を備えている。

CDが天板にある蓋をスライドして装着する方式のSC-C70MK2
CDは天板にある蓋をスライドして装着する方式

いよいよ音出しである。C70MK2は外の景色が見えるリビングの窓際にセットして、最初はCD再生から。CDはアルミ製の天板にある丸い蓋をスライドさせてセットするトップローディング方式だ。

ステレオサウンドから(3月8日に)発売されるシャンソン歌手バルバラの『Barbara Chante Barbara』を再生すると、1曲目「ピエール」は、彼女のデリカシーに富んだ歌声がこちらの耳を優しく撫で、声にならない微かな吐息にゾクリとさせられた。バックのアルトサックスも例えようのない艶やかな音色。

次は設置場所に合わせて最適な音質に調整してくれる「Space Tune」を紹介する。「Space Tune」は、周囲に何もない自由空間に置いたときに、低音が不足するのを補正する「Free」と、壁際に置いた時に低音が盛り上がるのを適正化する「Wall」、そして部屋のコーナーに置いたときに、音楽が濁ったりサウンドバランスが乱れたりということ防ぐ「Corner」の3つのプリセットが用意されている。

わが家では「Wall」で好ましいバランスが得られたが、後日ステレオサウンド社内でも壁際に設置して再テスト。その際はスマホにインストールした「Technics Audio Center」から「Auto」を選んでより精密な測定と補正を行った。「Auto」で測定し再生すると、プリセットの「Wall」よりもう少し広がりのある音場感が得られた。

「Technics Audio Center」を活用して、ネット経由の音楽も堪能しよう

SC-C70MK2は、ネットワークにつなぐことで、インターネットラジオや各種ストリーミングサービスを楽しめるようになる(ネット接続にはGoogle-Homeアプリが必要)。操作にはTechnics Audio Centerアプリを使い、入力切り替えやネットサービスの切り替え、ホームネットワークからは同一ネットワーク上のNASに保存した音源の再生も可能だ。ハイレゾコンテンツとしては、最大384kHz/24ビット/FLACや、11.2MHzのDSDにも対応している。

SC-C70MK2のアプリのUI
SC-C70MK2のアプリのUI

Technics Audio Centerのメインメニューから「ホームネットワーク」→「ミュージックサーバー」を選ぶと、NASに保存した音楽ファイルを再生することができる。本機らしいフルデジタル伝送のメリットが生きた透明感のある音で、Janet Dacalno『My Standard』(48kHz/24ビット/Flac)では、ラテンビートに乗せて彼女の弾けるような元気な歌声が飛び出した。

まだNASの用意がないという人は、音楽ファイルを保存したUSBメモリーをリアのUSB Type-Aポートに挿せばOKだ。USB入力も最大でリニアPCM 384kHz/32ビット、DSD11.2MHzと最高スペックで対応する。ぜひハイレゾも聴いていただきたい。

最初にも書いたが本機では放送の受信ももちろん可能で、FM/AMやインターネットラジオを聴くことができる。さらにBluetooth/AirPlay2にも対応して、スマホなどに保存した音楽をワイヤレスで再生することが可能だ。

置き場所に合わせて音場を自動補正。「Space Tune Auto」の効果も確認すべし

誰でも気軽にいい音を楽しめるように、部屋や設置場所に合わせて最適な音質に調整する「Space Tune Auto」機能も搭載されている。付属リモコンから「Free」「Wall」「Corner」のプリセット値が選択可能だ。さらにSC-C70MK2では、内蔵マイクを使ってテストトーンを測定・解析する「Auto」モードも搭載している。Technics Audio Centerアプリに加え、本体やリモコンでも測定が可能だ。

SC-C70MK2のアプリのUI

CDをリッピングしてスマホに保存したジェニファー・ウォーンズ『ザ・ハンター』、やジョニ・ミッチェル『ブルー』などを聴いたが、想像する以上にいい音が飛び出した。近年はCDやラジオ再生に加えて、Bluetoothによるワイヤレス再生の需要もかなり多いと思われるが、ぜひ気軽に活用していただきたい。

各種機能の進化ぶりが印象的なC70MK2だが、音質もC70と比べてかなり向上している印象があった。

後編ではアナログレコードプレーヤーを組み合わせるなど、C70MK2の更なる楽しみ方をお伝えしたい。乞うご期待!

ブラック仕上げもラインナップ。ライフスタイルに合わせて選んで欲しい

SC-C70MK2は、デザイン面にも留意された。シンプルなアルミトップパネルを採用し、さらに前面のルーバーは高域特性の改善にも寄与するなど、高音質とデザイン性を両立している。筐体カラーもダークシルバーを配した仕上げとした他、新たにオールブラックを追加して2色展開となった。ライフスタイルに合わせて選んでみてはいかがだろう。

SC-C70MK2

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