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製品特長

メーカー希望小売価格
250,000円(税込)

Technicsが誇るダイレクトドライブ方式の進化

Technicsが世界で初めて実用化したダイレクトドライブ方式は、1970年の登場以来、年を重ねるごとに最新の技術を取り入れて進化してきました。2016年に開発したコアレス・ダイレクトドライブ・モーターでは、ワウ・フラッターやS/Nの諸特性で測定限界に迫る精度を実現しています。
そして、ここまで回転精度を高めることで気付いたこともあります。それはワウ・フラッターの数値には表れないわずかな回転数の変動や、プラッターの微振動が音質に影響を与えるということです。アナログレコードのステレオ再生ではレコードの溝の左側と右側に左右の信号が刻まれています。これを正確にトレースすることで左右の信号を読み取ることができますが、モーターのわずかな回転変動が、再生音楽に滲みを生じさせると同時に、プラッターの微振動を誘発させることによって音像を不明瞭にしています。これはこれまでのワウ・フラッターやS/Nといった特性だけでは気付かなかった新しい知見です。こうした新しい発見に基づき、より高精度にモーター駆動ができる新世代のモーター駆動技術「ΔΣ(デルタシグマ)-Drive」が誕生しました。さらには、モーター駆動に大きな影響がある電源回路にも改善を加えています。Technicsはアナログレコード再生の新たな領域を拓く、新しい視点からの音質向上のアプローチにより、ダイレクトドライブ方式をさらに一歩進化させます。

ダイレクトドライブ・モーターDirect Drive Motor

安定した回転を実現するシングルローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーター

ΔΣ-DriveDelta Sigma Drive

新モーター駆動技術「ΔΣ-Drive」による回転精度の向上と、プラッターの振動低減

プラッターPlatter

剛性と振動減衰特性を追求。制振性も高めた2層構造のプラッター

ボディ、インシュレーターBody & Insulator

アルミダイカストとBMCによる2層構造の高剛性シャーシ

トーンアームTonearm

Technicsのターンテーブル伝統のスタティックバランスS字形トーンアーム

デザインDesign

シルバー、ブラックの2色展開による高品位なデザイン

ダイレクトドライブ・モーターDirect Drive Motor

安定した回転を実現する
シングルローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーター

ダイレクトドライブ方式の抱える回転ムラ(コギング)を解消するため、コイルからコアを排除したコアレス・ダイレクトドライブ・モーター。SL-1200GR2では、ローター磁石の磁力を極限まで向上させ、コアレスステーターとローター磁石のギャップを最適化することで、コギングを排除しながら高いトルク性能を実現したシングルローター型のコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを採用しました。安定した回転精度と、立ち上がり時間0.7秒(33 ⅓回転)を実現。さらに磁気回路の効率を向上させるとともに、磁束漏れを防ぐローターヨークを設けることで、磁気によるカートリッジへの影響も排除しています。シンプルな構造としながらも、上位モデルの高音質設計思想を継承した高性能ダイレクトドライブ・モーターです。

デジタル制御による
安定した回転制御と速度調整

モーターの回転制御を行う高性能マイコンを搭載した電気回路は、シングルローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーターとプラッターに合わせて専用にチューニング。正確で安定した動作制御だけでなく、33 ⅓rpm、45rpmに加えて、SP盤再生用の78rpmの回転数切り替えにも対応。また、±8%/±16%の範囲で回転速度を調整できるピッチコントロール機能も、デジタル制御による安定した速度調整が可能です。

ΔΣ-DriveDelta Sigma Drive

新モーター駆動技術「ΔΣ-Drive」による
回転精度の向上と、プラッターの振動低減

PWM方式はモーター制御に広く応用されています。また、Technicsのフルデジタルアンプも同様に、高精度、低歪な出力を得るためにPWM方式を採用しています。Technicsでは、この共通点に着目し、モーター回転時のわずかな回転ムラや微振動を低減するために、フルデジタルアンプ開発で培ってきた高音質技術を応用した新モーター駆動技術「ΔΣ-Drive」を開発しました。これは重量がものをいうターンテーブルの世界において、信号処理による新しい視点からの音質向上のアプローチです。
「ΔΣ-Drive」は、ΔΣ変換技術により駆動信号の誤差を低減し、高精度PWM生成技術により低歪な駆動信号を得ることができ、ワウ・フラッターやS/Nでは測定できないほどのモーターのわずかな回転ムラや微振動を抑えることができます。この微振動は音声信号には逆相成分として現れ音像を不明瞭にしますが、「ΔΣ-Drive」により振動を低減することで音像定位が向上し、明瞭で見通しの良い空間表現を可能にしました。

「Δ∑-Drive」制御回路

上の図は、33 ⅓rpmで回転しているときのプラッター上面の振動をレーザードップラー速度計で測定した結果になります。従来の駆動回路に比べて新開発の「ΔΣ-Drive」では、モーターのわずかな回転変動に起因して誘発される微小な振動が低減しています。振動を低減することで音像定位が向上し、見通しの良い空間表現を実現しています。

「ΔΣ-Drive」の効果は、振動の低減だけでなく回転精度の向上にも表れています。上の図は、3kHzのテスト信号が記録されたレコードを再生したときのオーディオ信号のスペクトル波形になります。従来の駆動回路に比べて「ΔΣ-Drive」では、オーディオ信号3kHz付近のスペクトルがより先鋭となり、回転のゆらぎがない明瞭な音再生を実現しています。

プラッター振動が音質に与えるメカニズム

ローノイズで電圧変動の少ない電源回路
「Multi-Stage Silent Power Supply」

アナログターンテーブルでは、カートリッジが読み取った微弱な信号は増幅されることなく端子に出力されるため、電源が音質に与える影響は少ないと考えられがちです。しかし、今回の新モーター駆動技術「ΔΣ-Drive」により、高精度な回転が実現すると、その電源も音質に大きな影響を与えることが判明しました。モーター駆動回路は負荷変動に対応しながら回転速度を維持するために電圧変動に敏感で、瞬時供給能力が高くハムノイズが少ないスイッチング電源が有利となります。さらにスイッチングによるノイズを低減するため、リファレンスクラスのSL-1000Rで搭載したノイズ除去回路を組み合わせました。Technicsが培った低ノイズ電源技術で、さらに純度の高いアナログレコード再生を実現しています。

Technicsフルデジタルアンプのノウハウを結集させた
ローノイズスイッチング電源

Technicsでは長年にわたってスイッチング電源のローノイズ化を研究してきました。スイッチング電源のメリットとして高速な充放電による安定した電力供給能力とリップルやハムノイズが少ないことが挙げられます。さらにターンテーブルにおいては、商用周波数の大電流で動作する巨大なトランスを必要としないことから、機械的な振動に対しても有利です。一方でスイッチング電源が発するノイズについては、Technicsがフルデジタルアンプの開発で培ってきたノウハウを結集、より優位性のある電源方式を採用し、スイッチング周波数を可聴帯域よりも高くすることで低減を図っています。

SL-1000Rと同等のノイズ除去回路を搭載。
「Current Injection Active Noise Cancelling」

電源回路で発生するノイズをさらに低減するため、スイッチング電源の後段に、リファレンスクラスのSL-1000R同等のノイズ除去回路「Current Injection Active Noise Cancelling」を搭載しました。この回路はノイズ抽出器とトランジスタで構成され、検出されたノイズを抽出しトランジスタが逆相の電流を注入することでノイズをキャンセルします。ローノイズスイッチング電源とノイズ除去回路の組み合わせにより、高い電流供給能力と低ノイズを両立したターンテーブルに最適な電源回路としました。

電源回路

プラッターPlatter

高い振動減衰特性を実現した
2層構造のプラッター

レコード盤を載せるプラッターは、アルミダイカストに不要共振を抑制するためのデッドニングラバーを裏面全体に貼り合わせた2層構造を採用。プラッター裏面には剛性を高めるための強化リブを追加。デッドニングラバーとの設置面積を増やし、貼り付けのための接着剤の塗布パターンを工夫し密着度を高めることで、高い振動減衰特性を実現しました。

精密なシミュレーションにより、
プラッター形状を最適化

慣性質量の増加と低振動化を実現するため、精密なシミュレーションを繰り返すことでプラッターのアルミダイカスト部の形状を最適化しました。強化リブの追加に加え、周辺部の肉厚を増しており、剛性の強化と慣性質量の増加を果たしています。これらにより、プラッター質量は約2.5kg(ゴムシート含む)としています。コアレス・ダイレクトドライブ・モーター、専用チューニングの電気回路との組み合わせにより、振動に強く、安定した回転を実現しました。

振動モードシミュレーション結果
SL-1200MK6*
*当社旧製品(2008年発売)
SL-1200GR2(強化リブの追加)

ボディ、インシュレーターBody & Insulator

アルミダイカストとBMCによる
2層構造の高剛性シャーシ

ダイレクトドライブ・モーターやプラッターを支え、外部からの振動を軽減するシャーシは、BMC(バルク・モールディング・コンパウンド)とアルミダイカストシャーシを強固に一体化した2層構造を採用しました。シンプルな構造ながらも高剛性と制振性に配慮しています。また、表面処理はBMC部、アルミダイカスト部ともに塗装仕上げとして品位を高めました。特にアルミダイカスト部はマット塗装とし、落ち着いた印象に仕上げています。

シャーシとのバランス、音質を吟味し、
最適にチューニングしたインシュレーター

筐体を支えるインシュレーターは、高い振動減衰特性と長期の信頼性を兼ね備えた特殊シリコンラバーを採用。高剛性一体加工ボルトとともに成型された構造で縦方向の振動を、マイクロセルポリマーによる円筒型のチューブで横方向の振動を抑制します。これらが強化樹脂製のハウジングに収納された構造となっています。特殊シリコンラバー硬度の選択は本体重量に合わせて専用にチューニングし、外部からの振動によるハウリングの発生を効果的に抑制します。

トーンアームTonearm

Technicsのターンテーブル伝統の
スタティックバランスS字形トーンアーム

レコード盤の回転に追従し高精度な読み取りを可能にするトーンアームは、Technics伝統のスタティックバランス型のユニバーサルS字形トーンアームを継承。トーンアームパイプの素材には軽量で剛性に優れるアルミニウムパイプを採用しました。ジンバルサスペンション構造のトーンアーム軸受け部には、切削加工のハウジングを使用した高精度ベアリングを採用しました。

熟練の職人による組み立て・調整により、
高い初動感度を実現

レコードの盤面に刻まれた信号を読み取るトーンアームは、わずかな動きにも敏感に反応する感度の高さが重要です。このために、トーンアームは熟練した職人の手で組み立て・調整を行っています。これらにより5mg以下という高い初動感度を実現。レコード盤の正確なトレースを実現します。

幅広い種類のカートリッジに対応する
補助ウェイトを付属

カートリッジに合わせて水平バランスを調整するためのウェイトは、標準のウェイトに加えて補助ウェイトを付属。補助ウェイト使用時の適用カートリッジ重量は18.7~25.1g(付属ヘッドシェル含む)となり、幅広いカートリッジの装着に対応しています。

金メッキ端子採用のPHONO端子など、
こだわりのパーツを採用

ケーブルの着脱が可能なPHONO端子を採用。PHONO端子部には音質劣化の少ない金メッキを施しました。また、端子部のケース内は金属シールド構造を採用しており、外来ノイズ混入の影響を低減しています。

デザインDesign

上位モデルを踏襲した高品位なデザイン。
Technics伝統のレイアウトによる快適な操作感

SL-1200シリーズ伝統のレイアウトを踏襲したデザインで、色はシルバーとブラックの2色を用意しました。シルバーモデルは上級機のイメージに近づけ、従来はブラックだった部品などもシルバーのメッキパーツに変更。ブラックモデルはトーンアームや操作ボタン類もすべてブラックのパーツを採用しました。上位モデルのデザインを継承し、より高品位に仕上げました。

環境に配慮した緩衝材Cushioning Material

緩衝材のプラスチック使用量を削減

海洋プラスチック問題などへの環境負荷を低減するため、環境に配慮した包装材をTechnicsのターンテーブルとして初めて採用。緩衝材の材料を発泡スチロールから段ボールに変更し、既存製品SL-1200GRの包装材に対してプラスチック使用量を約70%削減しました。重量のある商品を保護するため、緩衝材強度を確保する工夫を施しつつ、付属品を1つの箱にまとめるなど利便性も高めています。

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