「Technics×CIRCLE '22」特集

4月20日に開催されるアナログレコードの祭典「RECORD STORE DAY」。「地元や各地域にあるレコード店を大切にすること」「より多くの人にレコード店に足を運んでいただくこと」を基本理念に、アナログレコードのプレスメーカー・東洋化成の主催、Technics協賛のもと各地のレコードショップで多彩なアーティストのアナログ作品が販売されます。

これを記念して、今年のアンバサダーを務め、自身も1stアルバム「猫猫吐吐」と、本作の収録曲「普変」「ちゅ、多様性。」の「THE FIRST TAKE」のバージョンを収録した「From THE FIRST TAKE」で同イベントにエントリーしているanoさんに東京・ディスクユニオン下北沢店でインタビュー。レコードの豊富な知識を持つI'sのバンドメンバーとともに、あのさんは店内でお気に入りのレコードを見つけてTechnicsのターンテーブル「SL-1200MK7」で試聴したあと、レコードへの思い入れについて語りました。

取材・文:西廣智一
写真:平間至
取材協力:ディスクユニオン下北沢店(https://diskunion-shimokitazawa.blog.jp/

多忙なあのにレコードを

ー あのさんは今年の「RECORD STORE DAY JAPAN」のアンバサダーを務めることになったそうですね。おめでとうございます。

あの ありがとうございます。すごく光栄です。僕はバラエティ番組にたくさん出ているから、そっちのイメージが強いかもしれないですけど、anoとしてもI'sとしても音楽活動を真剣にやってきたつもりなので、「RECORD STORE DAY JAPAN」のアンバサダーに選んでいただけたということはアーティストとして評価してもらえた気がして、すごくうれしかったです。

ー あのさんが初めてレコードに触れたのは?

あの 昔、アイドルをやっているときにここ(ディスクユニオン下北沢店)でイベントをやったことがあって。そのときにレコードを目にしたのが、最初に意識したきっかけです。そこからはファンの人からレコードをもらうことが増えて、よく聴いていました。あとは、バンドメンバーが誕生日にプレゼントしてくれたりとか。自分があんまり音楽に詳しくないから、「これを聴きたい」と思って選ぶよりは人にオススメされて聴くことが多いです。

ー レコードではどういった音楽を聴くんですか?

あの 日常に溶け込む系の、ゆったりした曲が多いかもしれないです。たまには激しめな曲も聴くけど、比較的リラックスできるものを聴きがちです。

ー ご自身でレコードを選ぶときは何か基準があるんですか?

あの ジャケがかわいかったら買いたいと思います。

ー I'sの皆さんは、あのさんにレコードをプレゼントするとのことですが。

中山卓哉(G) 主にこの2人(前田、畝狭)ですね。

畝狹怜汰(Dr) 最初はあのちゃんの誕生日プレゼントは何がいいかなと考えたときに特に思い浮かぶものがなくて。そこで僕が昔、人からレコードをもらってうれしかったのもあって、あげようかなと思ったのがきっかけです。

ー 最初は何をプレゼントしたか覚えていますか?

畝狹 確かSimon & Garfunkelのベストと……。

キッチン前田(B) 渋い(笑)。

畝狹 (笑)。あとはEaglesのアルバム。「激しいのが聴きたいかな」とかいろいろ考えたんですけど、忙しいだろうし家でゆっくりする時間に聴ける音楽がいいのかなと。僕も休みの日の午前中に家でそういう音楽をよく聴いていたので、気に入ってもらえるんじゃないかと思ったんです。

あの Eaglesは親が好きと言っていたから、余計に興味を持って。実際聴いてみたら、さっき言った“生活に溶け込むような曲”ばかりだったから、癒されました。

前田 僕はThe Beatlesの「Revolver」のレコードをあげたことがあったかな。最近だと、それこそ「生活に溶け込むように」と、はっぴいえんどの「風街ろまん」をプレゼントしました。

畝狹 僕はそもそもパンクが好きなんですけど、家で聴くときはパンクのレコードよりもフォーキーでアコースティックなものを選ぶことが多いです。

中山 1人でレコードを聴くときって、結局そういうのを選びがちだよね。

前田 しかも、レコードの音って温かみがあって聴いていて疲れないからこそ、ちょっとリラックスしたいときにちょうどいいんですよね。

あのはジャケ買い

ー あのさん自身はレコードショップに足を運ぶことはあるんですか?

あの 最近はまったく行けてないんですけど、以前はちょいちょい当時のグループのメンバーと行ったり、プロデューサーに連れて行ってもらったりしました。

ー レコードショップの雰囲気はお好きですか?

あの はい。今日もすごく楽しかったですし、知らないものがいっぱいある中からお気に入りの1枚を見つける楽しさがあるなと思います。

ー 例えば、その作品のレコメンド文が掲載されたポップが付いていることがあるじゃないですか。そういうのは参考にしたりします?

あの 読まないです(笑)。あんまり目に入ってないです。

中山 たぶん、曲名とかも気にしてないよね。

あの うん。ジャケットを見て好きと思ったら、そこにしか目がいかないので(笑)。

ー 直感で選ぶ?

あの そう。ジャケットの絵を見て、音を想像したりするのも楽しいですし。逆に、どんな音かまったく見当のつかないものを選ぶのも、新たな発見があって面白いです。

中山 あと、聴くだけじゃなくて飾ったりできるのもレコードの醍醐味ですね。自分がいいなと思ったジャケットのレコードは、最初は中身が好みじゃなくても、だんだんと愛着が湧いてくるんです。

ー あのさんはディスクユニオン下北沢店にひさしぶりに訪れたわけですが、今日店内を回ってみた感想はいかがですか?

あの 昔とあんまり変わってないですね(笑)。最初に来てからずいぶん時間が経っているのに、こんなにも変わらないんだと驚きました。古いレコードがたくさんあるところも含めて、その変わらなさがいいなと思いますし、だからなのか安心感があります。

中山 下北沢店はほかのディスクユニオンと比べて、路面店だからか入りやすさもありますね。

畝狹 確かに。地下に降りるとか階段を登るとかないですもんね。

1台買ったら一生もの

ー Technicsのターンテーブル「SL-1200MK7」を試してもらいましたが、こういうレコードショップで聴くと家とはまた違った響き方がしますよね。

あの 聞こえてくる音もだけど、環境も含めて新鮮です。

ー Technicsの「SL-1200」シリーズは皆さんもいろんな場所で目にしていると思います。あのさんは「SL-1200」シリーズに触れるのは今日が初めてだそうなので、デザインや使い勝手を含めた「SL-1200」シリーズの魅力をぜひ中山さん、前田さん、畝狭さんからプレゼンしていただけたらと思います。

あの お願いします。

中山 まず、「SL-1200」シリーズは非常に丈夫で、なかなか故障しないそうなんです。モノによっては40年以上もつみたいなので、1台買ったら一生ものです。

あの すごい。

前田 本体価格は税込12万円とちょっとお高いですけど、40年以上持つと考えたら……お買い得です(笑)。DJの現場もTechnicsのターンテーブルが主流なんですよね。耐久性に優れているからこそどの現場で使われている。僕も次に買い換えるなら、「SL-1200」シリーズにしようと思っているほどです。

畝狹 デザインもカッコよくて、このブツブツの部分(ストロボスコープ)も高級感があるし。

あの うんうん。

中山 あのちゃん、実際に触ってみてどうだった?

あの 高級そうに見えるから最初触るのも日和っちゃったんですけど、実際に触ってみたら使いやすそう。あと、自分が前に使っていたターンテーブルは壊れちゃったりしたので、壊れにくいのはいいなって思いました。レコードもそうだけど、ターンテーブルも使っていると愛着が湧くだろうから、長持ちするのはいいですね。

ー 家庭用のレコードプレーヤーだとベルトが摩耗してしまうこともありますが、「SL-1200」シリーズはベルトを使っていない、ターンテーブルのプラッターとモーターが直接つながったダイレクトドライブ方式なので、スクラッチしたり激しく使ったりしても故障しにくいんです。

あの なるほど。こうやってほかのターンテーブルに触れる機会ってそんなにないけど、いろいろ話を聞きながら実際に触ってみるといろいろ納得です。

ー 僕の実家にあるターンテーブルもTechnics製で、しかも40年近く前のものなんですが、いまだに現役ですからね。

あの すごい。僕は自分でメンテナンスとかできない人間なので、それだけ壊れないとありがたいですね。

「頼むぞ!」って場面でどっしり構えている

ー Technicsというブランドに対するイメージはいかがでしょう?

あの プロっぽいイメージ。「頼むぞ!」って大事な場面に必ず存在して、いつもどっしり構えている、そういう安心感があります。

中山 確かに。スタンダードっていう印象が強いですよね。DJや制作の現場にTechnics製品があると、ホッとしますし。

畝狹 プロの現場にあるものっていう感覚かな。

前田 楽器でいうとFenderとかGibsonみたいな。

畝狹 DJ現場に行くとターンテーブルは大体Technicsの「SL-1200」シリーズなんですけど、僕はこれまでちゃんとブランドとして認識できていなかったところがあって。こういう機会にお話を聞くことで、改めて深く知ることができました。

ー ラジオ局でも「SL-1200」シリーズが使われていることが多いそうですし。

あの やっぱり、大事な場面に必ずあるのがTechnicsさんの製品なんですね。今日触ってみてより身近に感じられたので、自分も使っていいんだなと思えるようになりました。次に買い換える機会がきたら「SL-1200」シリーズを候補に入れたいです。これから手を出してみようと思っている人も使いやすいと思いますし。

ー 初心者だからと安いものでそろえるのではなくて、一生ものとして「SL-1200」シリーズを手にしてみてもいいのかなと。

あの 本当にそうだと思います。

前田 ターンテーブルを買い換える機会って、人生でそう何度もあるわけじゃないので。だったら最初にこれを買っておけばいいのかなと。

ー anoさんは「RECORD STORE DAY JAPAN」の一環で、昨年12月に発売された1stアルバム「猫猫吐吐」のアナログ盤をリリースします。あのCDジャケットが大きくなるだけでも、かなりのインパクトですよね。

あの そうですね。しかも、青い縁取りの部分がメタリックになるそうなんです。これがレコードショップに並ぶと考えると、すごくうれしいです。

ー アナログ化されることで、CDや配信で聴いていたときとはまた違った響き方や感覚も味わえるのかなと思います。

あの アナログ用にリマスタリングされると聞いたので、曲の印象がまた違う感覚で楽しめるのかな。

ー アナログ盤で初めて「猫猫吐吐」に触れようと思っているリスナーに向けて、何かアピールポイントはありますか?

あの 正直、今の時代ってアルバムが出せるまでにもすごく時間がかかるんです。anoとしても最初は「デジタルの時代なので、楽曲はデジタルでしか出さない」という話で、なかなか厳しいなと思っていたけど、僕はCDとかレコードとか“モノ”が好きなので、念願叶ってアルバムが出せて、しかもレコードでも出せるというのは簡単にできることではないと実感して。ファンの人はもちろんですけど、少しでも興味がある人にもこの機会にぜひレコードを買って、聴くでも部屋に飾るでもいいので手に取ってほしいなと思います。あと、「猫猫吐吐」には今まで発表した楽曲を全部詰め込んでいるから、これさえ聴いておけばanoとしての活動は全部わかるので、1枚持っておけば安心です。

ー 加えて、「THE FIRST TAKE」で披露した音源もレコードとして発売されるそうですね。

あの そうです。「ちゅ、多様性。」と「普変」が入っていて。一発勝負で、現場の緊張感もすごかったので、その感じもレコードを通すとYouTubeとは違って聴こえるのかな。そこも楽しみにしていてほしいです。僕もまだレコードで聴いていないので、完成するのが今から楽しみです。

PROFILE / あの / ano(アノ)
2020年9月にano名義でソロアーティストとして音楽活動を開始。2022年4月に「AIDA」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビュー。同年10月にテレビアニメ「チェンソーマン」のエンディングテーマに「ちゅ、多様性。」が選ばれ、2023年末にはTBS系「第65回 輝く!日本レコード大賞」特別賞を受賞し、「第74回NHK紅白歌合戦」にも出場。自身が中心となって結成したパンクバンド I’sでも活動している。音楽活動だけに留まらずタレント、女優、声優、モデルと多岐にわたって活躍中。
SL-1200MK7

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