アナログレコードのプレスメーカー・東洋化成が主催、Technicsが協賛するアナログレコードの祭典「レコードの日」が今年も11月3日に開催されます。これを記念して、イベントの一環で新作7inchアナログ「SKIPPIN’ STONES / LET’S GO BACK」をリリースするTHE BAWDIESのROY(Vo, B)とTAXMAN(G, Vo)にインタビューを実施。長年レコードを愛してやまない2人に最新ターンテーブル「SL-1200MK7」を体験してもらいながら、アナログビギナーに向けてレコードの魅力を紹介してもらいました。
― お二人がレコードにハマったきっかけを教えて下さい。
ROY 高校3年生になってそれまで夢中だったバスケ部を引退したある日、渋谷のタワーレコードに行ったときにたまたま店内に流れていた音楽を耳にして。それが僕らが一貫してTHE BAWDIESのルーツと言っている1960年代のガレージバンド・The Sonicsだったんですね。その音が本当に衝撃的で。いつの時代のどんなバンドなのかもわからないままCDを買って、次の日に同じ高校に通っていたメンバーに聴かせたんですよ。そしたらみんな一瞬でハマって。そこからガレージや、The Sonicsが聴いてきたリズム&ブルースやソウルミュージックに興味が湧き始めたんです。でも、当時はそういったジャンルのCDはコンピレーションやベスト盤でもなかなか買えなくて、レコードのほうが安く手に入ったんです。それで自然とレコードを買って聴くようになっていったんですよね。
― なるほど。The Sonicsとの出会いから始まったんですね。
ROY そうそう。それからThe Sonicsのことを調べたら、その背景にはリトル・リチャードやレイ・チャールズ、ジェームス・ブラウンといったソウルやブルースの黒人シンガーがいることがわかったんです。それでリトル・リチャードを聴いたら、The Sonicsにも勝るとも劣らない衝撃を受けて。The Sonicsのボーカル、ジェリー・ロスリーはリトル・リチャードのシャウトを真似てあんなに叫んで歌っているんだという発見があった。それで、昔新宿にあったディスクユニオンのソウル / ブルース館に行って店員さんに「The Sonicsをきっかけにリトル・リチャードを聴いて、黒人シンガーがシャウトしているような曲が好きなんです」と話したら、「じゃあこのへんが好きなんじゃないかな」とレコメンドしてもらった中の1枚が、オーティス・レディングの「Satisfaction」だったんですね。「まずはこのシングル盤を買おう」となって、それが僕がシングル盤を集めるようになったきっかけでもあります。
― TAXMANさんが初めて買ったレコードはなんだったんですか?
TAXMAN 僕はまずThe Sonicsのアルバムをレコードで1枚買おうと思って、最初に手に入れたのが「BOOM」でしたね。そのとき買ったのは再発盤だったんですけど、僕らが初めてThe Sonicsの衝撃を受けたのがこの作品だったので、これだけはオリジナル盤を持っていたいと思って、のちにオリジナル盤も購入しました。曲はもちろん、ジャケットから何から全部好きで。THE BAWDIESが駆け出しの頃は自分たちのホームページのデザインを「BOOM」のジャケットを意識したものにしていました。そのときどきの自分のモードでブルースやソウルやガレージを聴いたりしていますけど、これだけは飽きることなく、何かあったら聴く1枚という感じです。原点だからここに戻ると安心するんですよね。THE BAWDIESの楽曲を制作しているときも、何かに迷ったら「BOOM」を聴いて「やっぱりこれだな。あんまり難しく考えるのはやめよう」と思います。
― 高校生のときからレコードに触れているとなると、お二人のコレクションはきっと相当な数ですよね。
ROY 数年前に数えたことがあったんですけど、そのときはシングル盤だけで5000枚くらいあったので、今は5500枚くらいあるんじゃないかな。15年くらいかけてそれくらい集めましたけど、今も毎日買ってますからね。お金はなかったけど時間はあった頃は、しょっちゅうレコード屋さんに行っては100枚くらい平積みして試聴させてもらってました(笑)。今は世界中のレコード屋さんが通販をやっているので、時間があったらそういうサイトを見てるんですけど、1日1枚は自分が欲しいレコードが必ずヒットするので、そうすると買っちゃいますよね(笑)。
TAXMAN 僕はROYほど枚数を所有してないですけど、たぶん1500枚くらいですね。シングル盤も好きなんですけど、LP盤のほうが多いです。僕はもともとギターも絶対に売りたくないタイプなので、これから自分の家にレコードがどれだけ増えても絶対に売らないと決めてます。ほら、音楽の趣味っていろいろ変わってくるじゃないですか。例えばギターを始めた当初は、ゴリゴリのブルースのカッコよさって本質的にはわかってなかったんですよ。でも、ギタリストであるからにはブルースのレコードを持っておいたほうがいいなと思って何枚か買ったりして。それから数年経って改めて聴いてみたら「めちゃくちゃカッコいいじゃん!」と思えたんです。音楽ってそういうことがあるので、最初はそれほどハマらなかったレコードでも未来の自分に託すために売らないですね。
ROY THE BAWDIESもコンスタントにレコードで作品を発表しているし、今年は“2020レコードの日限定盤”として最新アルバム「Section #11」から「SKIPPI’N STONES / LET’S GO BACK」をカットした7inchシングル盤をリリースするんですけど、そこにはやっぱり自分たちがレコード好きで、その文化を伝えたいということと、自分たち自身で針を落としてTHE BAWDIESの曲を聴きたいという思いが一番にあるんですよね。
― レコードの音の魅力はどんなところにあると思いますか?
ROY 単純に、CDだとレコーディングした音源をデータ化するときにカットしないといけない音域があるから、そういう制約がないレコードのほうが音がいいという部分もあるんですけど、CDや配信だけではなくレコードをリリースしているアーティストって、僕らみたいに基本的にレコードの音が大好きな人たちばかりなわけですよ。ということは、そのアーティスト本人たちが好きな音、伝えたい音はレコードで聴くと一番よくわかると言って間違いないと思いますね。あとは、僕らのように50年代から70年代前半くらいまでの音楽が好きな人にとっては、レコードって当時のバンドやリスナーが実際に耳にしていた音を追体験できる最高の手段だと思うんですよね。当時はCDがまだなくて、レコードが主流の音楽メディアだったわけですから。僕の場合はさらにさかのぼっていって、本人たちがレコーディングした環境に近いオリジナル盤であったり、マトリックスナンバーが“1”の盤を聴きたいという欲求がどんどん湧いてきましたし。
TAXMAN やっぱり音の深みはレコードならではのものがありますよね。自分がレコードを聴き始めた頃はそんなにお金もなかったし、高級なスピーカーを持ってるわけでもなかったし、レコード針も一番安いものを買ってましたけど、レコードを聴く一番の醍醐味は、何よりもジャケットからレコードを出してターンテーブルに針を置くという、あの手間だと思うんですよね。今は音楽サブスクリプションサービスも充実してるからスマホでも聴きたい曲をすぐに聴ける時代になりましたけど、レコードは聴くまでに手間がかかるから、余計に音楽に対して愛着が湧く。それがレコードの一番の魅力だと僕は思います。
― 今日はTechnicsの「SL-1200MK7」でレコードを試聴していただきましたが、使ってみていかがでしたか?
ROY 僕らは2人とも自宅でTechnicsのターンテーブルを使ってるんですけど、やっぱりとにかく使いやすいですよね。レコード屋さんで試聴するときもよく置かれているのがTechnicsのターンテーブルですし、使用感が変わらないという意味でも安心する。Technicsのターンテーブルは、レコード初心者から愛好家まで、本当に幅広い人たちに愛されてるところが大きなポイントだと思います。あとは、イベントでDJをするときもTechnicsの「SL-1200MK」シリーズが置かれてることが多いです。この最新機種の「SL-1200MK7」は電源ケーブルが着脱可能というところもすごく便利ですよね。スイッチ1つで78回転に切り替えられて、SP盤が聴けるのも魅力的だなと思います。
TAXMAN これくらいシンプルに使えるターンテーブルは、レコード初心者にも最適だと思いますね。
- レコードの日
- アナログレコードの魅力を伝えることを目的として2015年より毎年11月3日に開催されているアナログレコードの祭典。東洋化成が主催、Technicsが協賛している。イベント当日は全国各地のレコード店でさまざまなイベントが行われるほか、この日のために用意された豊富なラインナップのアナログ作品が販売される。
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— Panasonic Japan公式 (@Panasonic_cp) 2020年11月2日
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- 2020年11月24日(火)
- PROFILE / THE BAWDIES
- ROY(Vo, B)、TAXMAN(G, Vo)、JIM(G)、MARCY(Dr)により2004年1月1日に結成された4人組ロックバンド。2009年に発表した1stアルバム「THIS IS MY STORY」でメジャーデビューを果たす。2013年1月に4thアルバム「1-2-3」をリリースし、同年2月より神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール公演を含む59公演の全都道府県ツアーを開催。以降もコンスタントにライブ活動および楽曲制作を行う。2019年に7thアルバム「Section #11」、2020年10月にデジタルシングル「SUN AFTER THE RAIN」、「レコードの日」である同年11月3日に7inchアナログ「SKIPPIN’ STONES / LET’S GO BACK」をリリースした。また同月に兵庫・神戸国際会館 こくさいホールにてジャルジャルとの共同企画「THE BAWDIES×ジャルジャル LAUGH ‘n’ ROLL PARTY ~お唄とお笑い混ぜる奴~」が開催される。
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