テクニクスが繋ぐ、ヒト オト 暮らし。MURO

テクニクスが繋ぐ、ヒト オト 暮らし。
MURO

90年代から日本のDJシーンの最前線で活躍するKing Of Diggin’ことMUROさん。ターンテーブルを相棒のように生活するアーティストにとって、〈テクニクス(Technics)〉はどんな存在なのだろう。音とカルチャーを現代へと繋ぐMUROさんに、その魅力を聞いてきました。

ー MUROさんにとって〈テクニクス〉のターンテーブルは長年使い続けている相棒的な物だと思います。「SL-1200」シリーズに対する印象を改めて教えてもらえますか?

MURO 昔から憧れでしかなかったんですよね。中学生の頃に、ディスコに行きたくても行けなくて、隣町にローラースケート場に遊びに行っていたんですが、そこではDJミックスみたいなことをやっていて。かかっている音楽をチェックしては貸しレコード屋に通って借りて、という日々を続けていました。

ー そこでDJの原体験をされて、ご自身でもやってみようということになったんですね。

MURO そうですね。自分でも〈テクニクス〉のターンテーブルを買おうと思った頃、当時は”2台でいくら”という販売方法はされていなくて、1台で7、8万円くらいだった記憶があります。

ー 最初に手にした機種は何だったのでしょう?

MURO シルバーの「SL-1200MK2」でしたね、90年代でしたから。バイトして貯めたお金でようやく1台手に入れて、家にあったモジュラーステレオを繋げてDJのようなことをやっていたんです。1台はピッチがいじれるけど、もう1台はカットイン用みたいな(笑)。そんな時期が1年くらい続いたのかな。専門学校時代に、2台目を揃えたときは嬉しかったですねぇ…。

ー 当時から、MUROさんにとってDJをするにあたって、〈テクニクス〉のターンテーブルが欠かせない存在でしたか?

MURO ぼくはこれ(〈テクニクス〉のターンテーブル)しか知らないですからね。レコードを置いたときの安定感は、これでしか得られない感覚だと思います。この配置に使い慣れていますし、変わらないのも嬉しいです。

ー 最新機種の「SL-1200MK7」は過去の機種と比べて、みていかがですか?

MURO まず、パッと見でこれまでと大きく異なりますよね。マットブラックという色味は「SL-1200」シリーズの中でも初ですし、そこにグッときました。以前、限定販売されていた「SL-1200GLD」という機種は、ツヤ感のあるブラックにゴールドが施されていて、すごくカッコよかったんですよね。そのときに僕がやっていたお店にも置いたりしていて。「SL-1200MK7」は、デザイン的にあの機種を彷彿させるような印象を持ちましたね。

ー MUROさんは「SL-1200MK7」を実際に現場でも使っていると思うのですが、機能面についてはどんな差を感じましたか?

MURO みんなが触れないところだと思うんですけど、ピッチコントローラーがすごく滑らかで使いやすいですね。ここがぼくにとってはキーになっている部分なんです。もう自分の中で、このメモリが基準になっているぐらいなんですよ。

ー ピッチコントローラーに目を向けるのには、どんな理由が?

MURO ヒップホップはサンプリングもするので、速度を一気に上げたり下げたりして、聴き流すことが多いんです。そういう意味で、ピッチコントローラーは使いやすく、振り幅の広さが重要になってきます。逆回転できたり、78回転で再生できる機能も役にたちますよね。「SL-1200MK7」は、これまでの機種が持っていた、それぞれの個性や強みが集合した感じがします。

ー レコードを楽しむ際にもオススメの機種ですか?

MURO もちろんです。僕も家でレコードをかけたら、子供も興味を持って見にくるし、回り出したら飼っている猫もやってくるし(笑)。そんな風に生活を豊かにしてくれるものでもありますからね。単純にリスニング用でしたら1台で充分楽しめるでしょうから。

ー まずは無理に自宅にミキサーなどを揃える必要はないのかもしれないですね。

MURO これからターンテーブルを手にする人も、恐れずに最初の1台として「SL-1200MK7」にチャレンジして欲しいですね。今後、自分でオリジナル音源を作っていきたいと考えている人であれば、ターンテーブル2台とミキサーは重要になってくるでしょう。

ー 今日はDJモニタリングヘッドホン「EAH-DJ1200」も試してもらいました。使用感はいかがでしたか?

MURO 「SL-1200MK7」と同じく、マットブラックなので統一感がありますね。ハウジングがターンテーブルと同じデザインになっていて、そこが一番グッときました。耳を包み込まないオンイヤータイプなので、片耳でパッと音楽を聴くことを考えると、現場でも使いやすそうですね。

ー MUROさんがヘッドホンを選ぶときに重視しているのは、どのような点ですか?

MURO やっぱりタフさですね。現場では汗やお酒がかかることもあって消耗が早いので、パッドがすぐにダメになっちゃうんです。ですが、「EAH-DJ1200」は首や耳が当たる部分が合成皮革で水分による劣化に強い仕様になっていますよね。そこからも進化を感じましたし、いまならではの新しさを感じました。

ー 価格帯も税込でもアンダー1万円ですし、購入しやすいところもよい点なのかなと。

MURO そうですね。どうしてもDJをやっている人は、普通にリスニングしている人よりも交換のサイクルが早くなりますし。消耗品でもあるので、そこも多くの人が喜ぶと思います。

ー 最近でも、よくレコードをディグりに行かれていますか?

MURO ぼくの場合は夢遊病のように、毎日あっちこっち行っちゃっています(笑)。西は吉祥寺、東は神保町辺りまで回っているんですけど、もうキリがないぐらいです。このぐらいの時期から、レゲエを耳が欲しがるようになるんですが、頭のどこかに選盤しないとって感覚があって、夏寄りの音楽は春先から聴き始めるっていうのが習慣になっちゃっています。

ー レゲエというと7インチなイメージがあり、7インチというとMUROさんのイメージがあります。サブスクなどによる配信も当たり前となっている時代ですが、レコードのモノとしての魅力はどこに感じますか

MURO 昔は7インチと言えばレゲエのイメージが強かったですけど、いまではオールジャンル出ていますよね。小さい頃、ソノシートを聴いていたのが最初のレコードとの出会いだったんです。それもあって、僕にとってレコードといえば、の形だったんですよね。音楽だけではなくジャケットのアートワークも楽しめたり、そこから時代背景が読み取れたり。さらにはA/B面というドラマもあって。本当にいろんな魅力が凝縮されたモノだと思いますね。

  • Photo_Yuki Aizawa
  • Text_Ryo Tajima(DMRT)
  • Edit_Shuhei Wakiyama(HOUYHNHNM)
PROFILE / MURO
King Of Diggin'の名で知られるDJ、MC、プロデューサー。国内シーンを代表するDJのDJ NORIとのDJユニットCAPTAIN VINYLとしても活躍。同名義のWEBショップも運営している。2020年からはブランド〈レコグナイズド(RECOGNIZE)〉のデザイナーとしても活動中。

Back to top