「Technics×CIRCLE '22」特集

毎年11月3日に開催されるアナログレコードの祭典「レコードの日」。2015年のスタート以来、毎年多くのアーティストたちがアナログ作品をリリースしてきました。今年は11月3日と12月3日の2日間に分けて実施され、約200タイトルが販売されます。

これを記念して、「レコードの日」2日目に「MODERN TIMES」「フレンヅ」のレコードをリリースするPUNPEEにインタビュー。Technicsのターンテーブル「SL-1200MK7」で試聴体験してもらいながら、レコードとの出会いや、その魅力について語ってもらいました。

「MODERN TIMES」がアナログ化

ー 「レコードの日」に発売される「MODERN TIMES」は3枚組でボリュームがありますけど、アナログ化するときは3枚組と決めていたんですか?

いえ、最初は2枚組の予定だったんですよ。同じ「レコードの日」2日目にレーベルメイトであるOMSBさんの「Think Good」のアナログも出るんですけど、それが3枚組だと聞いて、いいなと思ったんです(笑)。1枚あたりの収録時間が短くなる分、音もよくなりますしね。それでミーティングで「自分も3枚にしていいですか?」とお願いしました。でも、3枚組にするとジャケット内側の絵が足りなくなってしまうので、イラストを追加してもらっているんですよ。

ー ジャケットの表裏はCDと同じだけど、内側のアートワークは新しくなっているんですね。

本当はジャケットを開くと絵が飛び出す特殊仕様にしたかったんですけど、今回はあきらめました(笑)。

ー PUNPEEさんにとって、CDでリリースした作品をアナログで出し直す楽しみはどんなところにありますか?

まずは音の変化ですね。アナログだと迫力が出るし、中音域が痛くない。あと、ジャケが大きくなることでモノとしての特別感も出ますよね。手元に置いておきたくなる。

ー ジャケのインパクトは大きいですよね。サイズはCDの倍以上ですし。

ストリーミングの場合、もっと小さくなっちゃうじゃないですか。最近、アナログが人気なのも、モノとしての特別感があるからだと思うんですよ。(「MODERN TIMES」のジャケットを眺めながら)実際に描いてもらったジャケットの絵は、CDよりこっちのサイズに近いんです。だから、今回のアナログ化はオリジナルに近い状態でイラストを見てもらえる機会でもあるんです。

ヒップホップならではのよさを増幅してくれるアナログレコード

ー では、さっそくレコードを聴いてみましょうか。

ああ、やっぱいいですね。音がスピーカーを殴ってる感じがするというか。CDやデータで聴くのとは違いますね。音の重心が下がっていて耳ざわりがいいし、音のドライブ感が出てる。

ー 「音がスピーカーを殴ってる」という表現はいいですね。音の感じが伝わってきます。

倍音な感じというか。音にアクシデントが起こっている感じが好きなんですよ。ガチャガチャしすぎてもよくないですけど。

ー 音にアクシデントがある、というのはどういうことですか?

ツルッとしてないというか。デコボコしていて、不協和音もカッコよければアリみたいな。そういう部分がヒップホップには大事だと思っていて。それがアナログになると増幅される感じがするんです。

ー 「MODERN TIMES」に収録されている「Scenario」の歌詞には、「時はいろんな形で俺らを傷つけ試してくるけど アナログ盤みたいにね 傷も味になればいい」という一節がありますが、アナログのノイズって不思議と心地いいですよね。

そうそう、あのノイズがちょっとした素材になるんですよね。自分は曲を作ったあとでノイズを足したりすることもあって。昔のアルバムがCDで再発したときに、自分が聴いていたレコードのノイズがないと物足りないって思う人もいるかもしれない。あと、アナログは大きい音を無理なく出せるところもよくて。

ー というと?

最近の曲って音がパツパツに入っているんです。それをデカい音で聴くと、音が詰まってるからうるさく感じる。レコードは入っている音が少なくて、音も小さいんですけど、クラブでデカい音でかけるときは音に隙間があるほうが迫力が出るんです。最近の作品をアナログにする場合は、いかに音を引いていくのかが重要みたいで。今回もマスタリングを少し変えたりしているんですよ。

レコ屋を回るのが刺激的だった

ー 最初に買ったレコードはなんだったんですか?

レコードを買い始めたのは遅くて、確か1998年か99年くらい。最初に買ったのはBeastie Boysだったかな。ビースティのCDは家にあったのですが、その頃、初めてレコードプレイヤーを買ってDJに興味を持ったんです。それまではThe Offspringとか当時メロコアと日本で呼ばれていたものを聴いてたんですけど、WOWOWで「DMC」というバトルDJの番組を観て、「スクラッチってカッコいいな」と思ったんです。

ー スクラッチはどうやってマスターしたんですか?

DJ KRUSHさんが出していた教則本とか、ブートっぽいビデオを買って独学です。そこからラップにもハマっていくという流れですね。

ー アナログもどんどん買うようになった?

そうですね。2001年から2006年くらいまでは買いまくってましたね。新作はCDで買っていたけど、DJで使ったり、曲を作ったりする用にアナログを買っていたので、CDよりアナログの比率が高かったです。

ー データだとダウンロードして終わりですが、レコードやCDは店に買いに行く楽しさがありますよね。

ヒップホップには、ほかのジャンルにはあまりないレコードの聴かれ方があって。例えばプロモ盤というのがあって、オリジナル盤には収録されていないインストバージョンやリミックスがアナログオンリーで出ていたんです。そういうプロモ盤にはジャケットが付いてなくて、関係者に配るものということだったんですけど、店にも売ってるんですよね。それを追いかける楽しさがあった。「〇〇のプロモ盤が出たらしい」、という情報をつかむと店に探しに行くんです。必死で店を回ったり、レコ屋のサイトで入荷情報をチェックしたり。今みたいになんでもネットで聴ける時代じゃなかったので、そういうものを探して街に出かけるのがすごく刺激的だったんです。今、自分のバックDJをやってくれている原島“ど真ん中”宙芳と一緒にレコードを買いに行ってたのを覚えてます。

どのクラブにもTechnicsのターンテーブルがあった

ー ちなみにPUNPEEさんが初めて買ったターンテーブルは、どのメーカーのものだったんですか?

Vestaxでした。楽器屋さんに売っていたのがそれだったからで、あんまり機材にはこだわりがなくて、使えればいいって感じだったんです。で、初めてDJの現場に行ったらTechnicsのターンテーブルが置いてあって、「なるほど。こういう感じなのか」って(笑)。

ー プロの世界はTechnicsなのかと(笑)。

どこのクラブに行っても置いてあるターンテーブルはTechnicsなんですよ。だから一番ベーシックなものって感じがしますね。でっかいスタジオに必ずPro Toolsがあるのと同じというか。

ー では、Technicsのターンテーブル「SL-1200MK7」を使って「MODERN TIMES」を聴いてもらいましょうか。

タンテ、触るのひさしぶりなんですよね。(レコードをかけながら)これ逆再生機能が付いているんですね。いつからですか?

Technics担当者 この製品からなんですよ。

2倍速も?

Technics担当者 そうです。モーター自体、完全に新しくなっていて。「SL-1200MK6」までは同じモーターを使っているので回転が安定しています。あとはコードが着脱式になったので、断線とかカスタム性が上がりました。

Technicsのタンテは回るところに水玉模様(ストロボ縞目)があるじゃないですか。で、ライトが当たっている部分だけ止まって見える。あれってわざとなんですか?

Technics担当者 そうです。止まって見えるかどうかで、正しく回転しているか確認していたんです。昔は電力が不安定だったこともあって、回転も不安定でした。それでレコードを再生する前に、正しく回転しているかチェックしていたんです。

デザインなのかなと思ったら、そういう意図があったんですね。ずっと気になっていました(笑)。Technicsといえばこの模様っていう感じだから。

まずは直感で気に入ったのを

ー 新しく付いた逆回転機能や倍速についてはいかがですか?

早回しでサンプリングできるし、ターンテーブルリストとかDJバトルをやる人が、新しい表現ができるようになるんじゃないですかね。ターンテーブルを楽器のように使う人もいますから。いろいろ可能性が考えられると思います。

ー ちなみに、PUNPEEさんがターンテーブルを選ぶ際のポイントは?

友人の評判です(笑)。

ー 口コミ、重要ですよね(笑)。では、これからターンテーブルを買う人にアドバイスするとしたら?

まずは自分の直感でいいと思ったやつを買えばいいんじゃないですかね。自分はターンテーブルもサンプラーも、よくわからないまま買って使っていました。使っているうちに愛着が湧いてくるんですよ。だからデザインがいいとか、色が好みだとか、最初はそういうので選べばいい。使っているうちに自分のスタイルができてくるんで、まずは直感で気に入ったのを買ってみるのがいいと思います。

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PROFILE / PUNPEE(パンピー)
東京都板橋区出身のラッパー / トラックメーカー / DJ。2006年に「ULTIMATE MC BATTLE 2006」東京大会で優勝し、2007年にGAPPER、弟の5lackとPSGを結成。PSGは2009年10月にデビューアルバム「David」をリリースし、この作品は各所で高い評価を集める。エナジードリンク「レッドブル」のCMソングや、TBS系「水曜日のダウンタウン」のオープニングテーマおよびジングル制作で多くの人々に知られるようになる。2015年12月には加山雄三とのコラボ曲「お嫁においで 2015」をアナログ12inchでリリース。2017年1月には宇多田ヒカルのヒット曲をリミックスした「光(Ray Of Hope MIX)」を全世界で配信し、同年10月に初のソロアルバム「MODERN TIMES」を発売した。2020年7月にEP「The Sofakingdom」を発表。同年11月に今まで限定的に発表してきた楽曲を収めたシリーズ作品「Small Token」の第1弾を発表し、2021年3月に新曲も収めた第2弾をリリースした。2022年のアナログレコードの祭典「レコードの日」では、「MODERN TIMES」「フレンヅ」の2作品がアナログ化された。
SL-1200MK7

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