Technics 「レコードの日」|「所有する楽しさ、針を落とす瞬間の緊張感」中島愛×豊崎愛生が語る、アナログレコードの魅力

毎年11月3日に開催されるアナログレコードの祭典「レコードの日」。2015年のスタート以来毎年多くのアーティストたちがアナログ作品をリリースしてきた。今年は各アイテムに目が届きやすくなるようにするため、11月3日と27日の2日間に分けて全142タイトルが販売される。
これを記念して、アナログレコードの愛好家として知られ、自身の作品もアナログ盤でリリースしている中島愛と豊崎愛生にインタビュー。レコードとの出会いからレコードショップの楽しみ方、レコードに対する思いを聞いた。


レコードとの出会い

― お二人がレコードを集めるようになったきっかけは?

中島 私は小学生の頃に観たテレビ番組で昔の歌謡曲に興味を持つようになって。自分が生まれる前、1980年代の音楽に親しんでいく中で……中学1年生のとき、中古品の買い取り店に母の買い物で付いて行って、なんとなくブラリと店内を眺めていたら、ジャンクコーナーにたどり着いたんです。そこで「あれ? これってレコードってやつじゃない?」って。両親も音楽は好きで、家でよく音楽が流れている家庭だったんですけど、CDで聴いていたので、レコードは押し入れにあるのを見たことがあった程度で。興味を持ったのはその大きさとか、聴けることよりも「所有する気持ちよさ」ですね。はじめは「ジャケットが素敵だな」という気持ちのほうが大きくて、レコードプレーヤーも持っていないのに、それから地道にジャンクコーナーで集めるようになりました。ジャンクコーナーと、あとは地元のデパートの催事場(笑)。

豊崎 私は……父親がブレイクダンスをやってたんです。

中島 ブレイクダンス!?

豊崎 私が物心つく頃にはサラリーマンとして働いてましたが、私が生まれる直前までクラブでバリバリ踊ったりしていたらしくて。

中島 ファンキーですねー。

豊崎 なので家にはダンスミュージックのLPがけっこうあったんですよ。ただ、それは聴くというよりも飾りとして家にあって。ずっと「家にでっかいCDがある」と思っていて(笑)、聴いたことはありませんでした。まめぐちゃんと同じで「写真がカッコいいな」と思ったのがレコードにまつわる最初の記憶。お父さんが持ってたレコードは派手なジャケットが多くて、ビンテージ感もあってカッコよくて。レコードをレコードとして認識して、自分で買うようになったのは大学生になってからですね。

― 最初に買ったレコードは?

中島 ジャンクコーナーで初めて買ったのは、八神純子さんの「みずいろの雨」です。「この曲知ってる!」って。ジャンクコーナーは中学生のお小遣いでも買える値段なんですけど、デパートの催事場では3000円くらいするレコードが多かったので、「何か1枚だけ……どうしても欲しい!」と選んだのは、河合その子さんの1stアルバム「その子」でした。

豊崎 高校生のとき、昼間にライブハウスの片付けのバイトをやっていたことがあって、そこの店長がレコードを集めていたので、そこで初めてターンテーブルを回してレコードを聴く体験をしました。それで興味を持ったものの、当時はまだレコードを買うほどのお金がなくて。そのあと大阪の大学に通っているとき、近所にあったレコードショップで10枚まとめていくら、みたいなレコードを買ったのがたぶん最初です。それも友達同士でたくさん貸し借りしてグルグル回していたので、最初に買ったレコードが何かをちゃんと思い出せないんですよ。The Beatlesがあったのは間違いないのですが、友達の好みはヒップホップとかハウスとかバラバラで。

中島 いやあ、マンガの中の世界みたい。私の周りにはレコードを集めている子はいなかったし、ひっそりと集めていたので……。

豊崎 そんな美しい話じゃないですよ! 苦学生って感じだったし、みんなでお金を出し合って買ってジャンケンで負けた人は1枚だけとか(笑)。なので「初めてのレコードはちゃんと考えて買うべきだった」と思いますね。こういうときの話にも困らないし(笑)。

それぞれ違う、レコードショップの楽しみ方

― レコード屋に行くときは、お目当てのレコードを目がけて探しにいく場合と、無目的に棚を回ってよさそうなものを探す場合があると思いますが、お二人はどちらのパターンが多いですか?

豊崎 私はdiskunionとかに行くと、まずは最上階まで上がって、そこから順番にグルグルと螺旋状に回っていくタイプです。「わ、これLPで出てる!」とか「これ昔持ってたわー」とか思って1人でたぎりながら(笑)、くるくる周遊してお店を出る頃には「思ったより買っちゃったな……」みたいな。試練の山を下っていく感じ(笑)。

中島 わかります。私は、今はなき渋谷レコファン(レコファン渋谷BEAM店。2020年10月に閉店)と横浜レコファン(レコファン横浜西口ダイエー店。2019年1月に閉店)が大好きで。

― 広大なフロアに大量のレコードが並ぶ、いいお店でしたね。

中島 はい。私はちょっとのお目当てはありつつも基本的には時間の許す限り見る、というスタンスで。まずは屈伸しやすい服を選ぶ。

豊崎 そこから始まるんだ(笑)。

中島 膝をついても気にならない服を選んで、あとは人の邪魔にならないようにウエストポーチか斜めがけできる薄ーいカバンを持って。絶対に集中できる装備で行って、見られる棚は全部見る。隣のおじさんとかと阿吽の呼吸で場所を変わったりするのが楽しいんです。隣の人が何か掘り出し物を見つけたときは鼻息でわかるんですよ(笑)。パパパパパパパパ、フンッって。「今の棚ありました!? 私ないんだけど」とか思いながら黙々と見るのが楽しいですね。いいレコードがセレクトされたお店も素敵ですけど、どちらかというと「ここにはないかもな」っていうお店を回ってお目当てのレコードを見つけるのが楽しいので、「ここなら絶対にある」とかネットで検索して確認して行くようなことはほとんどないですね。

“本領発揮した音”が楽しめる「SL-1500C」&「SC-C70MK2」

― 今回、Technicsのダイレクトドライブターンテーブル「SL-1500C」とコンパクトステレオシステム「SC-C70MK2」に触れてみていかがでしたか?

豊崎 (「SC-C70MK2」を見て)これはターンテーブルから直接つなげるんですか?

― 「SL-1500C」はフォノイコライザーを内蔵しているので、ライン端子にケーブル1本でつなげます。「SC-C70MK2」は本体でCDやラジオが楽しめるほか、Wi-Fi、AirPlay 2、Bluetoothを駆使してPC内の音源やサブスク音源も再生できます。

豊崎 ほえー。

中島 (CDのトレイを触って)これかわいいですね。こうやって開くんだ。

豊崎 UFOみたい。

― あと「SC-C70MK2」は部屋の広さに合わせて最適なスピーカーの鳴りをセッティングできるんですよ。

中島 どういうこと!?

― 部屋の広さや環境によって音の響きが変わってくるんですけど、テスト音を内部のマイクが拾って反射音から最適な鳴り方を測定するんです(アナログシンセのようなテスト音が鳴る)。

豊崎 わっ。テステス。つまり中にちっちゃいPAさんが入ってるんですね。かわいい(笑)。

中島 最適な音にそろえるというのは、いわゆる音量の問題ではなくて……。

― 残響ですね。立派なリスニングルームにスピーカー台を用意して、みたいな聴き方はハードルが高いですけど、「SC-C70MK2」ではこの「LAPC(Load Adaptive Phase Calibration)」機能を使えば、空間表現に優れた音がその部屋に合わせて再生できます。

中島 残響。へえー。残響をデザインするってすごいですね。

豊崎 いいですね。うちはアンプとスピーカーがあって、ターンテーブルがドンと置いてあるんですけど、スピーカーを置くにはそれなりの幅もいるし……裏側の配線がめっちゃ大変なことになっているんですよ。配線をごまかすためにジャケットを立てたり(笑)、いろいろがんばってるんです。でも、このセットならケーブルを1本スッとつなぐだけだし、ボタンもシンプルで。

― 本格的なシステムで音楽を聴きたいけど、どこから手を付けたらいいのかわからない、設置スペースにも限りがある……という人に、このセットは非常にシンプルでいいですね。

豊崎 ……欲しい。シンプルにひと言(笑)。

中島 確かに欲しい(笑)。これさえあれば迷わないですもんね。

豊崎 やっぱり音楽を聴くうえで「いい音で聴きたい」って絶対条件じゃないですか。あえてラジカセのレトロでチープな音色で聴くのも楽しいけど、「本領発揮した音が聴きたい」と考えたときに何を選んでいいのかわからないという人は多いと思うんです。そんなときに、このセットはいろんな意味で「シンプルなよいもの」というか。私、レコードプレーヤーはTechnicsさんの古いシリーズを使っているのですが……使い方がすっごく雑で。本当にごめんねという感じなのですが、とてもタフだからずーっと使えているんですよ。

「新しい一歩を踏み出す楽しさ」を味わってもらいたい

― レコードが気になっているけどなかなか踏み出せないという方々に向けて、レコードが好きなお二人がその楽しさに触れる後押しをするとしたら?

中島 手間を愛おしいと感じる気持ちを伝える……難しいですね。きっと誰にでもその根っこや芽はあると思うんですけど、自分の中学生の頃を思い出すと、やっぱりレコードプレーヤーに手を付けるのは難しいと思うので。

豊崎 サブスクでいろんな音楽が聴ける中で、レコードはやっぱり簡単な買い物ではないものだと思うんです。聴くまでにそろえるものは多いし、敷居が高いと感じる人は多いかなと思いますけど、自分だけの宝物にもなり、素敵な趣味にもなり、ハマり込んだら沼になり……新しい世界なんです。今まで聴いていた音楽も、大好きなアーティストさんも、レコードになった瞬間に「はじめまして」みたいな世界が広がるというのが、私にとってはたまらない感動だったので、ぜひみんなにもこの「新しい一歩を踏み出す楽しさ」を味わってもらいたいです。もし1曲でも自分にとってかけがえない曲があったり、ずっと応援しているアーティストがいたりして、その人がレコードを出しているのであれば、絶対にレコードで聴いてみてほしい。針を落とす瞬間の……私はいまだに下手ですけど(笑)、この緊張感もね。

中島 所有する楽しさを少しでもほかの何かで感じたことがある人は、絶対にレコードにハマる素質があると思います。いろいろそろえるのは手間だなあと思うかもしれないけど、1枚でもレコードを手にすると絶対にプレーヤーが欲しくなりますから、深く考えずに好きなアーティストや好きなジャケット、好きな1曲があったらとりあえず1枚買ってみるのがいいと思いますね。私もずっとプレーヤーがないままレコードを買い続けてましたけど、絶対に我慢できなくなりますもん(笑)。

Technics「SL-1500C」

SL-1500C

Technicsによる、シンプルなビジュアルと操作方法が魅力のダイレクトドライブターンテーブルシステム。フォノイコライザー内蔵、カートリッジ同梱で初心者でもすぐにレコード再生を楽しむことができる。レコードの再生が終了すると自動的にトーンアームを持ち上げるオートリフトアップ機能付。

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Technics「SC-C70MK2」

SC-C70MK2

新開発のスピーカーユニットや音響レンズの最適化によって明瞭でスケールの大きなサウンドを堪能できるTechnicsのコンパクトステレオシステム。部屋の広さや置く場所に合わせて最適な音質に自動調整する「Space Tune(TM) Auto」機能を搭載している。アナログ音源のみならず、音楽ストリーミングサービス、ハイレゾ音源、CDなどの幅広い音楽コンテンツに対応。「Chromecast built-in」に対応しているアプリを使用してさまざまなサービスが楽しめる。

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「レコードの日」概要
アナログレコードの魅力を伝えることを目的として2015年より毎年11月3日に開催されているアナログレコードの祭典。東洋化成が主催、Technicsが協賛している。イベント当日は全国各地のレコード店でさまざまなイベントが行われ、この日のために用意された豊富なラインナップのアナログ作品が販売される。
PROFILE / 中島愛(ナカジマメグミ)
アニメ「マクロスF」のヒロインのランカ・リー役に抜擢され、2008年6月に「ランカ・リー=中島愛」名義によるシングル「星間飛行」で歌手デビュー。2009年1月に個人名義で初のシングル「天使になりたい」を発表した。2014年3月より音楽活動を休止していたが、2016年12月に活動再開し、2017年2月には復帰第1弾となるシングル「ワタシノセカイ」、10月には復帰第2弾シングル「サタデー・ナイト・クエスチョン」をリリースする。デビュー10周年を迎えた2019年1月に初のカバーアルバム「ラブリー・タイム・トラベル」を発売。2月には地元茨城での初ワンマンライブ「中島愛 凱旋ライブ in mito LIGHT HOUSE~しみじみ茨城~」を行った。30歳の誕生日である6月5日に初のベストアルバム「30 pieces of love」および初のアナログ盤「8 pieces of love」を発表。2021年2月に5thアルバム「green diary」を発売した。
PROFILE / 豊崎愛生(トヨサキアキ)
1986年10月28日、徳島県生まれの声優 / アーティスト。2009年放送のテレビアニメ「けいおん!」で主要キャラクターの1人、平沢唯を演じて一躍脚光を浴びた。同年2月には同じミュージックレインに所属する寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥とともにユニット・スフィアの活動を始め、10月にシングル「love your life」でソロデビュー。以降は、ソロ、スフィア、さらには数々のアニメのキャラクターソングなど幅広く音楽活動を行っている。2017年には初のベストアルバム「love your Best」をリリース。2021年6月に5年ぶりのオリジナルアルバム「caravan!」を発表し、7月にはワンマンライブ「LAWSON presents 豊崎愛生 コンサート2021~Camel Back hall~」を開催した。

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