コラボオンラインライブ開催記念特集「KREVA×Technics」

KREVAとオーディオブランドTechnicsによるコラボオンラインライブ「Technics presents “Connect” Online Live」が3月31日に音楽ナタリーのYouTube公式チャンネルで無料配信された。「アーティストの音楽とファンをつなげる」をコンセプトに掲げたこの配信企画。KREVAは東京・渋谷PARCOの屋上を舞台に、オンラインライブならではのアイデアとユーモアに満ちたパフォーマンスを展開した。

音楽ナタリーではこの配信ライブに先駆けてKREVAにインタビュー。Technicsの完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ60」を試してもらい、Technicsブランドへの愛情、音楽を生活の中で楽しむリスニング環境へのこだわり、そしてコロナ禍の中で模索しながら新たなライブスタイルを提示したオンラインライブへの思いを聞いた。

取材・文 / 臼杵成晃
撮影 / 須田卓馬
スタイリング / 藤本大輔(tas)
ヘアメイク / 中野愛

クオリティとパワーが合体した「質実」

ー KREVAさんはTechnicsというブランドに対してどういうイメージを持っていますか? ヒップホップにおいては「SL-1200」シリーズのターンテーブルが起点とも言えますし、やはり親しみのあるブランドだとは思いますが。

おっしゃる通りで、まずターンテーブルを買うとなれば、がんばってお金を貯めて「SL-1200」シリーズを買うっていう。高校生くらいだとベルトドライブ式の、もう少し安い機種のほうが手を伸ばしやすいんだけど、そこをパスして、一生懸命アルバイトしてSLを買う。初めて買った日のことはまだリアルに覚えていますからね。憧れのブランドだったし、僕はミキサーもTechnicsを使っていたので、馴染みはすごく深いです。(テーブルに並んだ「EAH-AZ60」を指して)これ、2つのカラーがありますけど、こっち(シルバー)がSL-1200のMK2でこっち(ブラック)がMK3ですね。

ー 確かに(笑)。ザ・Technicsカラーですね。Technicsのブランドイメージを具体的な言葉にするとしたら、どういう言葉を選びますか?

「質実」ですかね。うん。クオリティとパワーが合体したような重み。そういう感じがします。

ー 今ご自宅で使っているターンテーブルもSLシリーズですか?

家には今まったく機材を置いてなくて。でもスタジオでは今でもMK3を使ってますね。最新の機種はまだ持ってないです。

ー 現行のSLシリーズはAC入力やPHONO端子が着脱式になってるんですよね。

長年の悩みだったところですね。

ー 持ち運びの際、垂れたコードを落とさないよう運ぶ「SLあるある」も解決しました(笑)。

音質のためにケーブルを替えたいという声もあったでしょうしね。いろいろ理に適っているんでしょう。でも、変わってないところはとことん変わってない。

シネマティックな空間で鳴る、ガッツのある音

ー 今回の取材、KREVAさんからは完全ワイヤレスイヤフォンの「EAH-AZ60」を実際に試聴したうえでオファーを受けるかどうかを判断したいというお返事があったと聞きました。取材を受けていただいたということは、「EAH-AZ60」は好印象だったということですよね?

そうですね。

ー 僕もこのたび試聴してみまして、今使っているものから乗り換えようかな……と揺れているところなので、KREVAさんにあとひと押しをもらいたいなと。

ははは。一番重要なサウンド面でいうと、最初に思ったのは「ガッツのある音だな」と。それは音の色付けがどうとかじゃなくて。カッコよく言うと、シネマティックな感じがする。最初に指定されている音像のフレームというのか……ブラウン管的な音像じゃなく、もうちょっと横に広い感じ。上下に変な色付けはなくて、その代わりワイドさがあるような、シネマスクリーン的な音場を感じました。

ー それは面白い表現ですね。すごくわかります。

声が真ん中にあったとして、そこにリバーブやディレイがかかっているときに、ワイドなほうがその空間を感じやすい。左にあるものは左に、右にあるものは右にというのがよりクリアになるけど、それが「ハイ、広げてみせましたー」みたいな感じだと「ガッツのある音」にはならないんです。シネマティックな空間の中で、音が申し分なく鳴っているという印象でした。

ー KREVAさんが感じる「EAH-AZ60」のオススメポイントは?

音がシネマティックかどうかというよりも、すごく大雑把にどこを重視すべきか、どこをオススメできるかで言うと、最終的にはコネクティビティ。どのくらいスムーズにつながるか、操作しやすいかにかかっていると思うんですよ。その点で言うと「EAH-AZ60」はすごくストレスが少ない。細かいところで言うと、まず片耳に着けると「Bluetooth接続しました」とか言うじゃないですか、あの女性が(笑)。

ー (笑)。音声ガイドの声ですね。

それがもう片方を着けたときにも言ってくれるとか。あとは、最近だとノイズキャンセリングはどのメーカーも重要視されていると思いますけど、その切り替え操作がイヤフォンの表面を2秒押さえるだけというのもすごくいい。もう1アクションあったり、操作が手間な機種も自分が使ってきたイヤフォンには多かったけど、そのストレスがまったくないのはポイントが高いです。

ー 音質や操作性、携帯性、デザインなど、選ぶうえでのポイントはいくつかあると思いますが、KREVAさんが一番に優先しているのはどこですか?

接続のよさですね。音質をアプリで追い込むことができるのもこの機種のひとつの売りだと思うんですけど、自分はその必要性をまったく感じないほど、そのままの状態でも音に関しては十分にいいなと思ったし、最初にちょっと説明書を読んだだけで基本的なことはできるようになったので、操作についても問題ないですね。

ー 「EAH-AZ60」を選んでよしとする一番のポイントはつながりのよさだと。確かにそこはすごく重要ですよね。ちなみに音質の部分は今おっしゃったように連動したアプリ「Technics Audio Connect」で細かい部分を調整して、好みの音質をまさに「追い込む」ことができますけど、そちらの印象はいかがですか?

低音をブーストしたりイコライザーで細かく調整したりできるのでいろいろ試してはみましたけど、そのままでも十分ですね。自分が普段聴いてるような音楽だと、あまり色付けをする必要はないかなと思いました。

ー 外出時にもBluetoothイヤフォンは使いますか?

はい。ヘッドフォンを持ち歩いてたときもあったけど、今はBluetoothイヤフォンのほうがいいですね。初めて街中で立ち止まってノイズキャンセリングを使って音楽を聴いたときは、いつもの景色がドラマか映画になったような気分で、ひさしぶりに音楽の力を感じました。昔、カセットテープのプレイヤーでヘッドフォンを着けて街中でヒップホップを聴いていた頃は、自分が最強になれた気がしてました。周りの人は普通に動いているのに、まるで自分だけがドラマの中にいるみたいで。それを思い出しました。

ー 外で移動しながら使う際には装着感も重要なポイントですよね。そこはいかがですか?

申し分なかったです。サイズ違いのイヤピースがたくさん用意されていますけど、自分はデフォルトのものがぴったりだった。けっこうがっつり歩いてみたんだけど、落ちる心配はまったくなかったです。ケースからイヤフォンが出し入れしやすいのもいいですね。

ー たまに妙に出し入れしにくい機種もありますよね(笑)。ケースのデザインもザ・Technicsという感じの質実さがあるので、Technicsブランドに憧れがある人は「手軽に持ち運べるTechnics」としてもいいかもしれない。

自分的には今回お借りしたブラックが普段着ている服には馴染みがいいんだけど、シルバーもTechnicsらしさがあってたまらないですね。

ー ほかに「EAH-AZ60」の特徴を挙げるとすると、2台の機器と接続して同時待ち受けができる「マルチポイント」機能がありますね。

これは助かりますよね、ホントに。1回慣れちゃうと、ないと不便に感じてしまう。いろんな要素がどんどん進化している中で、やっぱり最終的には音が決め手になるんですけど……自分は「Technics信頼してるバイアス」がかかってるのかもしれませんが(笑)、この機種には自分が今までTechnicsに感じてきた「ガッツ」があって。もしまだBluetoothイヤフォンに不安を持っている人がいたら「全然その心配はないよ」と言いたいですね。いろんな曲を聴いてみて、特に合わないものはないなと思ったけど、今っぽい音楽のほうが合うかな。今っぽい鳴りをしているというか。ブレイクビーツよりも最近のトラップビートのほうが気持ちよく感じる。

ー 「EAH-AZ60」はLDACに対応しているのでハイレゾ相当の音質も楽しめますが……。

あ、それまだ試せてないんですよね。

ー 今日はハイレゾ音源も用意しているので、せっかくですから試聴していただきましょうか。

ぜひ。(プレイヤーを操作して)ほお……Maroon5を聴いてみよう。(しばし試聴して)ああ、いいですね。ハイレゾで解像度が上がってくると、奥行きの前後って言うんですかね、そこが見えやすくなるんです。ボーカルの声がより前に出てくる感じがします。例えばマイクスタンドを使って歌うボーカリストがいるとして、歌の切れ目にちょっと顔を逸らしたとすると、そのマイクから口元の距離が遠くなった感じ。それを奥行きとするならば、ハイレゾはそれがよりリアルに感じられますね。

ー ひと昔前は音声の配信というとロービットで当然だったものが、技術の進歩でどんどん変化して。それによってアーティスト側の表現の幅も、リスナーが求めるクオリティの基準もどんどん上がっていきますよね。その進化がまた新しいものを生み出すんだろうなと思います。

そうですね。今でも音楽に携わる人の一部はワイヤード命というか、有線じゃないといけないと考えている人もいると思うし、その意見もわかるんですけど、自分はBluetoothには大賛成です。リスナーが聴くシチュエーションを選ぶ選択肢が格段に上がると思います。ノイズキャンセリングの完全ワイヤレスイヤフォンを着けて街中を歩いたときに感じた音楽のパワーはすごかったし、家で布団に潜り込んで真っ暗な中で音楽を聴くのもいい。無線になることで音楽の聴き方は格段に増えるし、有線と比べたら音質が悪くなるところは実際にあるのかもしれないけど、「自分だけの環境で聴ける」という自由さと天秤にかけたら、ハッキリ言って俺にはその違いは気にならない。最高だと言われるようなオーディオ環境で聴けばもちろん素晴らしい音が楽しめるんだろうけど、特に俺が作っているような音楽は“街”が似合うというか、もっと自由に楽しんでほしいんです。

ー KREVAさんの楽曲を聴く人も、街に持ち出してドラマの主人公になってもらいたい。

ホントそうですね。行きたい場所に行って聴いてほしい。

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PROFILE / KREVA(クレバ)
1976年生まれ、東京都江戸川区育ち。BY PHAR THE DOPEST、KICK THE CAN CREWでの活動を経て2004年にシングル「音色」でソロデビューを果たす。2006年2月リリースの2ndアルバム「愛・自分博」はヒップホップソロアーティストとしては初のオリコンアルバム週間ランキング初登場1位を記録し、2008年にはアジア人のヒップホップアーティストとして初めて「MTV Unplugged」に出演した。2012年9月08日に主催フェス「908 FESTIVAL」を初開催。“9月08日”は“クレバの日”と日本記念日協会に正式認定されている。さまざまなアーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画出演など幅広い分野で活躍しており、2011年には初の著書「KREAM ルールなき世界のルールブック」を刊行。本書は2021年6月に電子書籍化された。2023年6月から7月にかけてライブツアー「KREVA CONCERT TOUR 2023『NO REASON』」を行う。
AZ60

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