「ありのままの音が生きる、生音質へ。」をキャッチコピーに掲げる「EAH-AZ100」。業界で初めて*磁性流体ドライバーを搭載した完全ワイヤレスイヤホンで、そのコピーに違わぬ、クリアで臨場感のある音を堪能することができる。そんな“ありのままの音”は、音楽を生み出すアーティストの耳にはどのように聞こえるのだろうか? 「EAH-AZ100」を事前に体験したyamaに、プロの音楽家ならではの目線で本モデルの特長や魅力を語ってもらった。
取材・文 / 張江浩司 撮影 / 苅田恒紀
*完全ワイヤレスイヤホンにおいて、初めて磁性流体を用いたドライバーを搭載。当社調べ。2025年1月23日発売商品。
ここのノイズもちゃんと聞こえるんだ
ー 「AZ100」を使用した感想をお聞かせください。
1音1音がめちゃくちゃクリアで、きれいな音だなと素直に思いました。低音がめっちゃ出ているとか、どこかの帯域だけが刺さる感じがなくて、かなり聴きやすい。バランスのいい音質が好きなので、とても好みです。
ー 音楽制作の際もフラットな音環境を意識されているんですか?
レコーディングするときはむしろ逆で。自分が歌いやすいように、声が突出して聞こえるようなヘッドホンやマイクを選びがちです。ちょっといびつな状態で録っちゃってるんで、それを確認するために別のイヤホンやヘッドホンでチェックしています。そういう意味でも、普段はフラットな環境で聴きたいんですよね。
ー プレイヤーとしての耳とリスナーとしての耳は別だと。
けっこう分けてます。それで言うと「AZ100」は自分の“リスナーの耳”にちょうどいいなと思いました。
ー 「AZ100」は磁性流体ドライバーという技術を採用することで、“新次元の高音質”を実現しています。「ありのままの音が生きる、生音質へ。」がキャッチコピーなんです。
なるほど。今回、「; semicolon」(3月5日リリースのニューアルバム)の曲もいくつか聴いてみたんです。リリースしたての曲を聴くと、自分がイメージして作り上げた楽曲や歌声とギャップを感じてしまうことが多くて。意図しない音域が持ち上がっていたり、解像度が低くて聞こえなくなっちゃっている部分があったりするけど、このイヤホンはそれがかなり少なかったです。「ここのノイズもちゃんと聞こえるんだ」とか思いました。自分は息の量が多い声質なんですけど、その息遣いもちゃんと聞こえましたね。

ー どのサブスクを使っているかでも音質が変わりますし、リスナーが持っている機材でも音の聞こえ方がまったく違うので、どういった環境に向けてミックスするのかというのは、昔と比べてもさらに悩みどころですよね。
どれだけ大きいスピーカーでチェックしても、聴き手にはまた別の環境がありますからね。いろいろな機材で出来上がりを確かめるようにはしているけど、「こういう形で聴いてほしい」というイメージに近いイヤホンを使っていただけると、こちらの思いも伝わりやすいのかなと思います。
ー まずミュージシャンが思い描いた音に近いものが表現できないと、その奥にあるエモーションはなかなか伝わらないと。
自分の音楽はダイナミックな起承転結があるタイプじゃないというか、華やかで派手なものではないので、細かいニュアンスがわかりづらいと思うんです。そういうところもなるべくじっくり聴いていただけると、こちらの思いがより伝わるのかなと。
ー 繊細なニュアンスを汲み取るためにも、1つの曲を何度も聴いて味わいたいところですが、そうなると音が潰れてしまうようなイヤホンだと疲れちゃいますよね。
そうですね。勝手なイメージですけど、ワイヤレスイヤホンはドンシャリ系の音が多い気がしていて。それがすごく苦手なんですよ。自分の声質のよさは中域に詰まっていると自覚しているので、そこをちゃんと聴いてほしいというのもありますし。そのあたりのバランスは気になっちゃいます。ドンシャリ系の音も迫力を感じられて、それはそれでよさがあると思うけど、カロリーオーバーしちゃうと毎日は食べられなくなっちゃいますからね。その点「AZ100」は、ドンシャリな感じではなく、バランスがすごくいいなと思いました。

“ドヤ感”がない聴き心地
ー 「; semicolon」収録の曲で、特に「AZ100」で聴いてほしい曲はどれでしょうか?
1曲目の「TORIHADA」は、「AZ100」のよさがよくわかる気がします。声の抜けがいいですし、キックの響きもすごく気持ちよくて。低音が効いているけど、「嫌な感じで出すぎている」みたいなことはない。音の輪郭が曇ることもなく、“具体的に響いてくる”というか、存在感があるんです。
ー 低音は盛り上がりには欠かせないですけど、ブーストしすぎると疲れに直結しますもんね。
そうそう。効きすぎちゃうと何回も聴けなくなりますから。楽曲全体がボヤッとすることもありますし。あと、「rain check」は生音メインの曲なので、その温かさがちゃんと感じられていいですね。この2曲を聴き比べていただけたら面白いかもしれません。
ー 個人的には「レコード」の隙間の多いアレンジが「AZ100」に合っていると思いました。
確かに。特徴的なシンセサウンドも入っているので、面白いかもしれないです。
ー あと、「雫」はスネアの材質まで伝わってくるような生々しい音が感じられるなと。
そこには注目してなかった! この曲は(川谷)絵音さんにアレンジしていただいて、演奏もindigo la Endの皆さんなので、生音が生きてるんですよね。ちょっと聴いてみていいですか? (実際に「AZ100」で聴きながら)なるほど、そういうことか。
ー いかがでしたか?
確かにスネアの深さがすごいですね。楽器それぞれの繊細なところまで聞こえるというか、生演奏がすごくフレッシュに再現されていますね。だけど“ドヤ感”はなく、あくまでもさりげない聴き心地。声とのバランスもちょうどいいと思います。

こんなに静かになるのか!
ー 「AZ100」には、装着時の環境や耳の形状に合わせてノイズキャンセリング強度を最大化する「アダプティブ(自動最適化)ノイズキャンセリング機能」も搭載されています。ノイズキャンセリング機能はいかがでしたか?
イヤホンのノイズキャンセリング機能って、最近初めて使ったんですよ。周りが騒がしくても音量を上げればいいやと思っていて、ずっと使ってなかったんですね。でも、海外ツアーでの長時間のフライト中になんとなく使ってみたら「こんなに静かになるのか!」とびっくりしました。今さらですけど(笑)、ストレスが90%減りましたね。「AZ100」のノイズキャンセリングも使ってみましたけど、マジで周りの音が聞こえない。近くで紙をくしゃくしゃにしたり、わざと大きい音を出してみたんですけど、ちゃんとノイズキャンセリングされていました。
ー 外音を取り込むアンビエントモードも進化しています。
すごく自然ですよね。他社のイヤホンの外音取り込み機能を試したときは、人工的だなと思ったんですよ。流れている音楽の音質が若干下がるような気もして。音がシャリっとして聞こえるというか。でも「AZ100」の外音取り込みではその感覚が全然なかった。めちゃくちゃクリアな音楽が流れているのに会話が可能というのが不思議で面白かったです。
ー デザイン面に関して言うと、前のモデル「AZ80」から本体もケースもひと回り小さくなっています。サイズ感はいかがでしょうか?
すごくコンパクトですよね。自分は耳がそんなに大きくないので、大きいイヤホンを着けていると重みでポロッと取れちゃいそうになるんですけど、それが一切なくて。ずっと着けてられます。ヘッドホンをずっと着けてると首が痛くなっちゃったり、重さって音楽を聴くうえでのストレスに直結するんですよね。「AZ100」は小さすぎてなくしちゃうほどじゃないし、ちょうどいいと思います。デザインも、スリムだけど丸みがあってかわいいですよね。変に主張してくるところもないし、日常に溶け込めるデザインだなと思いました。

ー ブラックとシルバーがありますが、yamaさんはどちらがお気に入りですか?
いつもは黒があれば黒を選んじゃうんですけど、これはシルバーもいいなあ。この光沢のある感じがすごくかわいい……シルバーがお気に入りですね。ちなみに充電はUSB Type-Cですよね?
ー そうです。
それもありがたいんですよね。今は少なくなりましたけど、特殊なケーブルで充電しないといけないと使い勝手が悪いなと思っちゃいます。そういうところもシンプルで使いやすくていいですね。
※音楽ナタリー掲載記事より抜粋
- PROFILE / yama(ヤマ)
- SNSを中心にネット上で注目を集める新世代シンガー。2018年よりYouTubeをベースにカバー曲を公開し活動をスタート。2020年4月に自身初のオリジナル楽曲としてリリースした、ボカロPくじらが手がけた「春を告げる」はSNSをきっかけに多くのリスナーの心をつかみ、あらゆるヒットチャートでトップにランクイン。また2022年に放送されたテレビアニメ「SPY×FAMILY」の第2期エンディングテーマである「色彩」では、ボカロPくじらと約3年ぶりにタッグを組んだ。2025年3月に4thアルバム「; semicolon」をリリースし、4月まで全国ツアー「the meaning of life TOUR 2025」を行う。
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