くるりがか案じる”ありのままの音”とは? Technics「EAH-AZ100」は一度使ったらもう戻れない

「ありのままの音が生きる、生音質へ。」をキャッチコピーに掲げる「EAH-AZ100」。業界で初めて*磁性流体ドライバーを搭載した完全ワイヤレスイヤホンで、そのコピーに違わぬ、クリアで臨場感のある音を堪能することができる。そんな“ありのままの音”は、音楽を生み出すアーティストの耳にはどのように聞こえるのだろうか? くるりの岸田繁(Vo, G)と佐藤征史に「EAH-AZ100」を体験してもらい、プロの音楽家ならではの目線で「EAH-AZ100」の特長や魅力を語ってもらった。

取材・文 / 石井佑来 撮影 / YURIE PEPE
*完全ワイヤレスイヤホンにおいて、初めて磁性流体を用いたドライバーを搭載。当社調べ。2025年1月23日発売商品。

一度使ったらもう戻れない

ー お二人には、前作「AZ80」の発売時にもご感想を伺いましたが、今回体験してもらった「AZ100」はいかがでしたか?

岸田 「AZ80」がよすぎたので、今回お話をいただいたときに「100かあ」と思ったんですよ。それぐらい「80」を気に入っていたというか。「80」でもう十分素晴らしいから、あまり期待しすぎてもなあなんて思いながら一聴したら、その瞬間「100でしょ!」と(笑)。プロモーションの場だから言っているとかではまったくなく、「AZ100」を一度使ったらもう戻れないですよ。音楽を聴くのがさらに楽しくなりました。

佐藤 僕も、さらに進化できるということにびっくりしましたね。ベースの音って聴いただけだと何を演奏しているかわからないことが多くて。例えば人の曲をコピーしなきゃいけないときとか、スタジオ用のヘッドホンで聴いてもよくわからないことがあるんですよ。それが「AZ100」を使って何気なく電車の中で聴くだけで100倍よくわかる。何十万円もするヘッドホンとかではなく、ワイヤレスイヤホンでここまで鮮明に音を聴き取れるという、本来ありえないはずのことが実現されていると思います。音楽を作っている人たちにもぜひ使ってほしいと思いました。

岸田 私は今回クラシックを中心に聴いたんですけど、それぞれの弦の個性とか管楽器奏者の息吹みたいなものをすごく感じて。普通のイヤホンやスピーカーは、クセがなくてスッキリ聴ける一方で、物足りなさを感じることもあるんです。それと比べて「AZ100」は、クセがないのに倍音の響きもすごくいい。とにかく下から上までバランスがいいなと思います。私は普段、配信で音楽を聴くときはジャンルによって使うメディアを分けていて。クラシックはいい音で聴きたいから、いわゆるサブスクではなくハイレゾ音源を聴くことが多いんです。そういう、いい音質の音を聴けば聴くほど「AZ100」のすごさがわかると思います。これからストリーミングサービスもいろいろ進化して、音質も向上していくと思うけど、「AZ100」はそういう進化に適応した製品なのかなと。

ー 「AZ80」と比べて、違いを感じるところなどはありましたか?

佐藤 僕は「AZ80」に比べて“音の隙間”を感じました。例えば電圧の高い国でクラブに行ったりすると、日本とは違って音の中に隙間を感じられるんですよ。その隙間があれば、大音量で音楽が鳴っていても普通に会話できるし、それぞれの楽器の音もよくわかる。「AZ100」はその感覚に近いなと思います。普通のイヤホンだと1つの塊にしか聴こえない音がちゃんと分離して聴こえるし、だからこその広がりを感じられる。1つひとつの音が優しく感じられるから、大きな音で聴いても全然疲れなかったです。

すっと肌になじむような感覚

ー 「AZ100」について特筆すべき点として、「業界で初めて磁性流体ドライバーを搭載している」ということが挙げられます。磁力に反応する液体が入っていることで、振動板のストローク運動を正確に制御することが可能となり、歪みを軽減することができるとのことです。高級スピーカーや10万円以上する有線イヤホンではなく、この価格帯の完全ワイヤレスイヤホンに磁性流体ドライバーを搭載したのは「AZ100」が初めてだとか。

岸田 なるほど、そうなんですね。

佐藤 僕は細かい技術について詳しくはわかりませんが、その技術のおかげで「音がいい」と感じているのは確かだと思うので、それが「80」から「100」への進化と言われたらすごく納得できますね。

岸田 「歪みを軽減することができる」とおっしゃっていましたけど、言われてみると確かに音がクリーンですよね。それが佐藤の言っていた“聴き疲れのなさ”につながっていると思うし、聴いていて疲れないかどうかはめちゃくちゃ重要だと思います。「AZ80」で古いロックとかソウルを聴くと、もっとドシッとくる感じがあったんですよ。高域もきらびやかで肉厚で。それが「AZ100」でよりなめらかになった気がします。より客観的に聴けるというか、すっと肌になじむような感じがする。あと、クラシックのようにダイナミクスやマイクとの距離がある音楽だと、部屋の広さまで感じられるんですよね。それも変に強調されているわけではなく、すごくフラットなイコライジングが施されていて、本当に音がきれい。「音がいい」とか、そういう言い方もあると思うけど、個人的には「きれい」というのが一番しっくりきます。パッと見てきれいだと感じるものってあると思うけど、それと同じ。きれいで自然。

佐藤 自分たちがライブで使うようなイヤーモニターって、倍音がすごく聴きやすくて。それでクラシックを聴くと、音の分離がかなりよく聴こえるんですよ。でも、そのイヤーモニターでガレージロックみたいな、音がガチャガチャしたものを聴いてもあまり楽しくなくて。「AZ100」はその両方を楽しめるのがすごいですよね。これまでBluetoothのイヤホンを使うときはアプリで自分好みの音にイコライジングしていたけど、「AZ80」も「AZ100」もそういうことをするまでもなく音がきれい。もちろん個人の好みとして合う合わないはあると思うけど、これは合わない人のほうが少ないと思います。

そんなことまでしてくれるんですか?

佐藤 「AZ100」ではノイズキャンセリングの進化もすごく感じました。もともと自分はノイズキャンセリングがあまり得意ではなくて、使うことがほとんどなかったんですよ。その苦手意識が「AZ80」でなくなって、「AZ100」ではいい意味ですごく驚かされました。細かいことはわからないんですけど、進化してますよね?

ー 「AZ100」から、装着時の周囲の環境や耳の形状に合わせてノイズキャンセリング強度を最大化する機能が搭載されています。「AZ80」に寄せられた声を踏まえて進化させているとのことです。

佐藤 やっぱり進化しているんですね。ここまで圧迫感がなく、外音がサッと消えるのはすごいと思います。

岸田 僕も、もともとノイズキャンセリングはあまり好きじゃなかったんですよ。作品自体の音質が変わってしまうのが嫌だから、新幹線とか飛行機に乗るときに仕方なく使うぐらいの感じで。でも「AZ100」のノイズキャンセリングは、使っても音質の変化が全然わからないんですよね。耳が詰まるような感じもまったくないし、すごく自然。さっき佐藤さんが音の分離と広がりについて話してましたけど、それがまったく損なわれない。むしろ周囲の音がなくなることで音楽がきれいに聴こえてくるという、理想的な形になっている。ホントに、これどうなってんの?って思いますよ(笑)。音楽を聴かずにノイズキャンセリングだけを使っても心穏やかになれるでしょうしね。「ちょっと集中したいな」と思ったときに、下手な耳栓を使うよりもいいかもしれない。

ー デザイン周りについてはいかがでしょうか?

岸田 個人的には、耳へのフィット感が「AZ80」よりよくなった気がします。「AZ80」は外を歩いていると落ちないかどうか心配になることもあったんですけど、「AZ100」はその心配がまったくなくて。耳の形は人それぞれ違うので、フィット感も個人差があるとは思いますけど。

佐藤 僕も「AZ100」はフィット感がすごくいいなと思います。あと、ケース含めてかなり軽くなっているのに驚きました。最初に持ったとき、「軽っ!」って声が出ちゃうぐらいびっくりして(笑)。

ー フィット感の話で言うと、「AZ80」に引き続きコンチャフィット形状が採用されていまして、それが小型化・軽量化に成功しているのも「AZ100」の特筆すべき点かと思います。そのほかに通話機能も進化しておりまして……。

佐藤 通話機能って、音楽を聴いているときに電話がかかってきたら、そのまま通話できるってことですよね?

ー そうです。しかも「AZ100」は、相手の雑音を消したうえでこちらに届けてくれる機能が搭載されていまして。通話者の声を判別したうえで、各々の声だけを送受信するようになっているので、騒がしいところで通話してもお互いの声をクリアに届けることができます。

佐藤 通話している人の声を判別して、それ以外の音を自動で消してくれるってことですか……?

ー その通りです。

佐藤 そんなことまでしてくれるんですか?(笑) すごいですね。

岸田 余談ですけど、私は鉄道オタクなので、モーターの音を聴くだけでその車両の形式がわかるんですよ。なんの役にも立たないけど一応特技の1つというか。昔マネージャーから電話がかかってきたときに、電話の向こうから小田急1000形のモーター音が聞こえてきたので「今、小田急に乗ってる? 電車の中で通話しないで」と言ったことがありました(笑)。でも、このイヤホンだったらそのモーター音も消えて、わからなくなるってことですよね。それはちょっと悔しさもありますね(笑)。

佐藤 あははは。

岸田 まあそれは冗談として、こんなにきれいな音で音楽が聴けて、ここまでいろんな機能が搭載されているのはすごいですね。

※音楽ナタリー掲載記事より抜粋

PROFILE / くるり
1996年に立命館大学の音楽サークル「ロック・コミューン」内で岸田繁(Vo, G)、佐藤征史(B)、森信行(Dr)により結成。1998年10月にシングル「東京」でメジャーデビューを果たす。2007年より主催イベント「京都音楽博覧会」をスタートさせたり、「ジョゼと虎と魚たち」「奇跡」といった映画作品の音楽を担当したりと、その活動は多岐にわたる。2023年10月に、オリジナルメンバーで制作したアルバム「感覚は道標」をリリース。2024年9月に、メジャーデビュー時より在籍していたSPEEDSTAR RECORDSとの契約を満了したことを発表し、翌10月にイタリアの音楽家ダニエレ・セーペと制作した楽曲「La Palummella」をリリースした。
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