シンガーソングライター 庄野真代さん

PROFILE
20歳のとき「フォーク音楽祭」に応募し、関西四国決勝大会でグランプリを獲得、その後デビュー。1976年デビューLP「あとりえ」で、都会派ニューミュージックの歌手として注目される。2年後には5枚目のシングル「飛んでイスタンブール」が大ヒット、NHK「紅白歌合戦」に出場する。1980年に、世界一周の旅で28ヵ国を渡り歩いた。
歌手の他、講演・司会・レポーター、ミュージカルやテレビドラマ出演など精力的に活動。現在、NPO法人「国境なき楽団」の代表理事として国内外でのチャリティー活動も行なう。2014年より法政大学人間環境学部非常勤講師。

音楽を聴くと“喜び”が湧いてくる
その感情までも表現する原音再生クオリティ

― リファレンスシステムを中心にハイレゾ音源やCD音源を試聴していただきましたが、まずは率直な感想をお願いします。

庄野さん 今日試聴させていただいて、わかったことがあるんです。 普通は音がクリアであるとか、このフレーズのサウンドが良いとか、心地の良い音だとか…いろいろなことを考えながら聴くじゃないですか。 でも今回リファレンスシステムで音楽を聴いているときには「喜びが湧いてくる」と思ったんですよ。その“喜び”って何なのかな?と、ずっと考えていたんですが、ライブに行って会場で音楽を楽しんでいるときの感覚にとても似ていると感じました。 このようなオーディオで音楽を聴いて「ライブ会場で聴いているようなサウンドだ」という表現をする方は、この湧き上がる“喜び”の部分に共通点を発見しているんでしょうね。

庄野真代さん

― 「原音を忠実に再現する」というテクニクスの開発コンセプトについては、どのように感じられましたか?

庄野さん 音楽は波形で出てきますよね。そこにさまざまなパワーが加わって、さらにオーディオ内のシステムで調整が入って音が再生されるんですけど、そこに“喜び”のような感情はどうやって乗せているんだろう?って不思議に思いました。 きっと、この感情部分の表現も含めて試行錯誤をされて「原音の再現」を技術的に工夫して開発されたんですよね。私自身は機械の内部のことは詳しくありませんが、感情が湧き上がる音楽を再現できる技術力の素晴らしさを感じました。

今まで聴こえなかった音まで聴こえる
音楽の世界観を演出する「出ていない音」の表現力

― ご自身のCDのマスタリング音源も試聴していただきましたが、テクニクスでの再生はいかがでしたか?

庄野さん 昔は、歌ってるときのブレス音やリップ音、喉がガラッと鳴ってしまったときの音は消していたんです。だからどの歌手でも同じようにクリアな状態で聴こえていたんですが、今はブレスの音などをそのまま残して「個性」とする時代になりましたよね。その流れの中で、マスタリングしたCD音源をテクニクスで聴いてみて、今まで聴こえていなかった音が聴こえてきたことに感動したんです。ピアノのベダル音やブレス音のような音が聴こえるのって、すごくリアルですよね。そういう音も含めて音楽作品だと思っています。今回はマスタリングCDでしたけど、ハイレゾで音楽を配信したら同じようなリアル感で作品を提供できるんでしょうね。
みなさん音楽を聴くときは“出ている音”を意識されますが、実は“出ていない音”も音楽には非常に重要だと私は考えています。例えば、曲中の休符をきちんと感じられるか、というのは音楽の世界観を作る上でとても重要なんです。だからリファレンスシステムで楽曲を聴いたとき、鳴っていない音を感じられるところがすごいと思いました。

庄野真代さん

良い音楽空間は心のケアにもつながる
テクニクスでの音楽療法の可能性

― 現在「国境なき楽団」の代表理事として「エクスペリエンス・ミュージック・セラピー(歌や演奏を通して心のケアをする音楽療法プロジェクト)」を行なわれていらっしゃいますが、例えばテクニクスのようなオーディオシステムはそういった音楽療法の一端を担えるでしょうか?

庄野さん 冒頭でもお話しましたが「喜びが湧いてくる」というのが何よりも心のケアになると思うんです。悲しいことがあったり、落ちこんでいたり、怒ってたりしていても、良い環境で良い音楽を聴くことで喜びや自信などがふつふつと湧いてきたら…素敵なことですよね。
私もライブに行くと、単純に音楽を楽しむだけではなくて、その空間に自分がいて、いろいろな人から発せられるエネルギーを感じながら「よし、明日もまた頑張ろう!」って気持ちになっていくんです。
だから良いオーディオシステムを使って、良い音楽空間で気持ちをリフレッシュしていくことは、心の健康を保つ上でも素晴らしいと思います。

庄野真代さん

音を感じる喜びを知れた試聴体験
初めての音楽に触れるときこそ聴いてほしいハイレゾの世界

― 庄野さんはご自宅でゆっくり音楽を楽しまれる機会はありますか?

庄野さん 歌手活動や講師活動などで忙しく、家にいる時間が少ないのでオーディオを使って音楽をじっくり聴く…ということはあまりないのですが、今日の試聴体験で「老後の楽しみはコレだ!」と思いました。
先ほども申し上げましたが、テクニクスのようなオーディオシステムを通して聴く良い音楽には「音を感じる喜び」があるんですよね。良い音楽はストレスをなくしてくれたり、パワーがみなぎってきたり、明るい気持ちになったり…自分の心を健康に保ってくれる力があると思います。オーディオ愛好家のみなさんは、この喜びを楽しんでいる方たちなんだということがよくわかりました。自分の時間ができたときに、この「音を感じる喜び」をじっくり味わいたいですね。

私自身はこんな風に音楽を楽しむ経験をしてこなかったので、今日は新しい発見がありました。それと同時に、初めて聴く音楽こそテクニクスのようなシステムで楽しむことが必要なのかな、と思いました。普段からよく聴いている音楽は、自分の頭の中にデータベースのように貯まっていくので、良い音・悪い音などの比較ができると思うんですけど、初めて聴く音楽にはその比較するための「経験」がないですよね。
イヤホンなどで、音がペタっと平たくなった状態で音楽を聴く機会が増えていますが、音源ひとつひとつに深みを表現できる良い環境で音楽を聴くことによって、作り手も聞き手も音楽に対する「経験」のレベルがアップし、もっと良い音で作りたい、楽しみたいって、音楽の世界が盛り上がってくるといいなぁ…と考えたりしました。
だからこそ、こういったオーディオシステムを使った音楽の楽しみ方を発信していくことが大切だと思います。

― リスニングルームの環境はいかがでしたか?

庄野さん よく計算されて作られている、というのを強く感じましたね。 オーケストラのホールだと、生音が美しく響くように設計されていますよね。同じようにあのリスニングルームの部屋自体が持つ効果は大きいと思います。ただ、あの環境を自分の家に備えることができる方は限られてしまうとも思うので、自宅でテクニクスを楽しむための「プチオーディオシステム講座」のような情報発信があると面白いかもしれないですね。

庄野真代さん
ページトップへ戻る

インタビューリスト

インタビュー一覧へ戻る

Back to top