テクニクスが繋ぐ、ヒト オト 暮らし。サイトウジュン × 依田 亮

テクニクスが繋ぐ、ヒト オト 暮らし。
サイトウジュン × 依田 亮

サブスクの普及など、時代の変化によって音楽の楽しみ方を選択できるようになってきました。その中でも、レコードで聴く音楽は特別な時間。そこで欠かせないのが、ターンテーブルです。今回は音楽から関係性が発展していったインストゥルメンタルバンドYOUR SONG IS GOODのサイトウジュンさんと雑司ヶ谷のアパレルショップ〈カップアンドコーン(CUP AND CONE)〉の依田亮さんのおふたりに、〈テクニクス(Technics)〉のターンテーブル「SL-1200MK7」を介して、お話を聞いてきました。

ー まず、おふたりが知り合った経緯を知りたいのですが。

依田 亮 イベントの物販に並んでいたらジュンさんが声をかけてくれたんです。当時、僕はジュンさんの大ファンで、音楽ライブやトークイベントに多数足を運んでいて。YOUR SONG IS GOOD(ユアソングイズグッド)の活動はもちろん、音楽以外で発信することにもジュンさんから影響を受けているんです。

サイトウジュン その日のこと、覚えてます。いろんな現場に顔を出してくれていたからなんとなく認識はしていて。当時は〈カップアンドコーン(CUP AND CONE)〉のことを詳しく知らなかったんですが、何かクリエイティブなことをしている若者という印象がありました。

依田 初めてのお話したときも、トートバッグに書いてある「CUP AND CONE」って文字に反応して、話しかけてきてくれたんです。そこから、徐々にお話するようになり、という感じですね。僕にとってジュンさんは20代の生活を決定づけた人であり、いまでもただのファンというか(笑)。

サイトウ 僕からしたら、依田くんは何かと本当にお世話になってしまっている人というありがたい存在です(笑)。

依田 でも、僕はずっとファンといった感じで(笑)。

サイトウジュン・依田 亮

ー (笑)。おふたりはそれぞれの活動以外にDJもやられていますよね。

依田 DJは趣味の延長で、たまにお声がけいただいたときに恐れ多くもやらせていただいている、くらいに思っていて。

ー 〈カップアンドコーン〉といえば、以前はパンクやハードコアといったイメージでした。いまはハウスとか、また違う流れを感じます。

依田 そうですね。YOUR SONG IS GOODのスタイルがすごくハウスに寄っていた時期に影響を受けて、そこからハウスやダンスミュージックにハマってレコードを買い集めるようになりました。ハウスのレコードを買い続けていると、次第に2枚を繋ぎたくなってくるんですよね(笑)。それで〈テクニクス〉のターンテーブルを2台買いました。

サイトウ 僕がDJを実際に始めたのは30歳になったくらいだったので、他の人に比べるとずいぶんと遅い方だと思います。中学生くらいからずっとDJをやってみたいと思っていたんですけど、その衝動を15年くらい溜めに溜めて、溜めて…ついに、もう我慢できない!と思って買いました(笑)。本当はずっと欲しかったのですが、その頃ついに限界が来たんですよね(笑)。それだけ溜めたうえでの気持ちだから、本当にDJをやりたいはずだし、もう買っていいはずだと(笑)。そんな感じで、思い切って〈テクニクス〉のターンテーブルを2台買って、DJを始めたんです。僕もちゃんとDJとして活動している方々と比べると全然なんですけども。

依田 そんなことないじゃないですか!(笑)。

サイトウ いやいや、遅咲きだし、バンドもやっちゃってるしで、そういう感覚はずっとある(笑)。

サイトウジュン・依田 亮

ー まあまあ(笑)。ところで、おふたりとも最初のターンテーブルが〈テクニクス〉だったんですね。

依田 知人に相談したときに、〈テクニクス〉だと言われて、従いました(笑)。

サイトウ 僕も買うときに同じ友人に相談してます(笑)。やっぱりターンテーブルといえば、のブランドですからね。いまも最初に買ったターンテーブルを使っているんですけど、全然壊れなくて、すごいですよね。

依田 本当にタフですよね。

ー 〈テクニクス〉のターンテーブルとの最初の出会いはいつごろでしたか?

依田 〈テクニクス〉との最初の出会いは、高校生の頃に親しい友人が〈テクニクス〉のターンテーブルを買ったときですね。彼がヒップホップ好きで、Bボーイだったんですが、垢抜けててオシャレにも気を配っていたから、そういう世界のものなんだなって思ったのがすごく印象に残っていますね。

サイトウ 僕とは世代が違うけど、その感覚はわかるよ。そもそも「DJってどんな存在なんだろう?」って時代だったんですが、雑誌ではDJと共に〈テクニクス〉のターンテーブルが機材として掲載されていて。でも、ターンテーブルと家庭用のレコードプレイヤーは全然違う形なので、もうデザインからして新鮮だったんですよ。なんだこれはと。初めて友人の家で現物を見たときは、めちゃくちゃかっこいいなって思いましたから。

サイトウジュン・依田 亮

ー 今日はおふたりがお持ちのターンテーブルの最新作「SL-1200MK7」をお持ちしました。この「SL-1200」シリーズにどのようなイメージがありますか?

サイトウ 〈テクニクス〉のターンテーブルは、ターンテーブルという機材を超えて、僕にとっては楽器のような印象があります。鳴ってる感があるというか。レコードをかけるときに楽器を鳴らしているような、そういう感覚があります。機材として性能込みで魅力的なのはもちろんですが、いい楽器をさわったときのような独特の感触があるんですよね。普通のターンテーブルとはやっぱり何かが違う、そんな特別感があります。

依田 純粋にかっこいいですよね。これは少し話がそれますが、オーディオオタクの友達がリスニング用途にレコードプレイヤーを探しているときに、各社のスペックを調べたらしいんですよ。そうしたら、停止状態から回したときに速度が安定するスピードが、ずば抜けて〈テクニクス〉が早かったと。回転の安定性とか分析した結果、〈テクニクス〉しか候補に残らなかったと。オタク目線でも高い信頼性があるのってすごいことですよね。

ー レコードで音楽を楽しむ魅力ってどういうところにあるのでしょう?

サイトウ レコードの好きなところって、新譜もあれば愛情たっぷりなリイシュー盤があったり、偶然出会った激レア盤みたいなのがあったり、普通に手に入りやすいモノでも、本人にとって思い入れたっぷりなドラマが生まれたり。そんな楽しめる幅の広さっていうのはあると思います。

ー それには、サブスクと比べて所有する楽しさみたいなのもありますよね。

依田 いま、一番音楽を聴いている時間が長いのはサブスクだと思います。でも、それが一番好きかというとそうでもなくて。かといって、サブスクがなくなるのは困るし、レコードも大好き。だから、全部必要というか(笑)。

サイトウ 僕もアナログオンリーかというとそうではなくて。好きな音楽はなんでも聴きたい、すぐに聴きたいって思うタイプです。それがCDでもサブスクでもYouTubeでも、レコード屋さんの視聴MP-3でも、なんでもいいからとにかく早く聴きたい派なんですが(笑)。でも、レコードで音楽を聴く時間がやっぱり一番濃い気がします。

ー それはどんなところが違うのでしょう?

サイトウ 鳴っている音楽に対して真剣に向き合っている、集中して聴いている感じがするんですよね。録音された音楽を聴く体験としては一番贅沢で濃厚なもの、という感覚があります。きっとこういうインタビューでレコード好きの人たちが言っていることと同じになってしまうと思いますが、レコードを取り出して、ターンテーブルに置いて、針を落とす。その一連の作業はもしかすると面倒なことかもしれないけれど、そこに重みがあるというか、だからこそのよさは、やっぱりありますよね。

サイトウジュン・依田 亮
  • Photo_Taro Hirano
  • Text_Ryo Tajima(DMRT)
  • Edit_Shuhei Wakiyama(HOUYHNHNM)
PROFILE / サイトウジュン
インストゥルメンタルバンドYOUR SONG IS GOOD(ユアソングイズグッド)のキーボード担当兼リーダー。TOKYO No.1 SOUL SETの川辺ヒロシとのDJユニットDISCO MAKAPUU(ディスコマカプー)としても活動。楽曲提供からプロデュース、リミックスワークなど、さまざまな形で音楽制作を行っている。
PROFILE / 依田 亮
東京都豊島区出身。自転車と音楽に影響を受けた雑司ヶ谷のアパレルショップ〈カップアンドコーン(CUP AND CONE)〉のオーナー。近年では、配送で多用するレターパックから名乗り始めたDJ LETTERPACK名義でDJ活動も行なっている。YOUR SONG IS GOODのグッズデザインも手掛けるなど多岐に渡って活躍中。

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