オーディオ評論家 和田博巳さん

PROFILE
1948年生まれ。新宿のジャズ喫茶「DIG」に勤務後、高円寺にジャズ喫茶「ムーヴィン」をオープン。1972年、ロックバンド「はちみつぱい」にベーシストとして参加。1986年から、フリーのレコーディングディレクター・音楽プロデューサーとして、あがた森魚、オリジナル・ラブ、ピチカート・ファイヴなどのアルバム制作に携わる。
現在はオーディオ評論家として、オーディオ専門誌をはじめとする各種メディアで評論・執筆活動を行う。

デジタル時代にふさわしいオーディオ再生のあり方を研究した表現力
テクニクスの技術力と心意気に期待

―本日はご自身でお持ちになったハイレゾ音源を、リファレンスシステム中心に試聴いただいたのですが、テクニクスの「原音を忠実に再現する」コンセプトについて、実際試聴されてどのように感じられましたか?

和田さん その設計思想がきちんと反映されていると感じました。
テクニクスというブランドが一時的に、ただ休息していた訳ではなく、音の再現の技術を磨いて「デジタル時代にふさわしいオーディオ再生のあり方」を研究してきたことが、改めてよくわかりました。
アナログ時代のテクニクスは、素晴らしい製品をたくさん発表していました。ただアナログということもあり、その音楽の持ち味や艶やかさ、あたたかさなどを表現する点では評価が高かったのですが、空気感や静けさ、余韻の漂い、圧倒的なダイナミックレンジを表現することは難しかったと思います。
「原音を忠実に再現する=自然界の音をきちんと再生する」ということだと思いますが、デジタルの時代になり、それを再現する技術が発展してきました。テクニクスブランドの復活により、新たなテクノロジーに対する技術力と心意気に大いに期待しています。

和田博巳さん

―デジタル時代にブランドが復活したことで、アナログ時代のテクニクスにプラスして、空気感や余韻まで表現できる技術が新たな魅力になる、ということでしょうか?

和田さん 今はハイレゾ音源が出てきたことで、音源がスピーカーに入る直前までピュアなまま保たれるようになりましたよね。わかりやすく言うと、テクニクスの新たな提案は、オリジナルのデジタル音源がオーディオの心臓部であるパワーアンプまで一度もDA変換されずにそのまま届けられるということです。だから生の音に近いものが表現できるようになっているのですが、現状ではその生々しい音をきちんと表現できる域に到達しているメーカーは世界中でも数少ないんです。だから、テクニクスには大きな期待をしています。

音楽のジャンルだけでなく時代やフォーマットを問わない音の再現性
「原音を忠実に再現する」という思いを感じ取れるオーディオ機器

―さまざまなジャンルの音楽を視聴されていましたが、テクニクスはジャンルを問わずに楽しめるオーディオ機器でしたでしょうか?

和田さん 「できるだけ原音に近づきたい」ということは「どんな音楽でも生々しく聴こえるべきである」という考えのもと開発されたと思うんです。僕はその思いがどこまで達成されているのかを確認したかったので、今日は音楽のジャンルだけではなく、録音された時代やフォーマットの種類が異なるものを持ってきました。実際に聴いてみて、ジャンルや時代を問わずに音の持つ世界感や空気感を再現できていると感じました。テクニクスは「どんな音楽でも原音に忠実に再現する」という思いをきちんと達成する方向に向かっていることを確信しましたよ。

和田博巳さん

アナログ世代にも体験してほしい新しいテクニクス
聴けばわかるハイレゾ音源の世界

―アナログでオーディオを楽しまれていた世代にも、デジタルのテクニクスは楽しんでいただけるでしょうか?

和田さん そうですね。少し前までは、パソコンに対するスキルが高くないと、このような機器はハードルが高いものと思われていましたが、アナログでオーディオを楽しんでいた世代も、今ではスマートフォンやパソコン等を使うことが当たり前になって、使用することに抵抗がなくなってきていますよね。ネットワークオーディオなので、再生するときはパソコンは必要ありませんが、ハイレゾ音源をダウンロードしてNASに格納するときは必要になります。でも日常的にデジタル機器に接しているので、特に問題なく操作することができると思います。
音楽を楽しむ、という点でも「レコードやテープなどのアナログ音源の方がいい」という方もいるだろうけれど、それを単なるノスタルジーとは言いませんが、ハイレゾ音源を一度聴けば、その音源の再現性の素晴らしさ、特に音の精細さやニュアンスの豊かなことに誰でも感動するでしょう。
アナログオーディオだけしか楽しんだことのない人がもしあなたの周りにいたら、このリスニングルームに連れてきて、テクニクスの音を聴いてもらえれば、その素晴らしさが絶対に分かってもらえると思います。

和田博巳さん

それぞれの住環境にマッチしたオーディオの楽しみ方
リビングルームで光るプレミアムシステム

―リファレンスシステムについて色々と伺ってきましたが、プレミアムシステムは、どのような印象を持たれましたか?

和田さん 文句なしで素晴らしい機器だと思いますよ。音の再現性も低音のバランスも本当に良いと感じました。僕が以前より提唱している「ニアフィールドリスニング(小さな部屋で比較的小型のスピーカーを使って、近い距離で音楽を楽しむこと)」で使用する機器にもピッタリだと思います。
これからオーディオを購入したいと考えている方や、大きなオーディオルームはないけれど日常の生活の中で良い音楽を聴きたい方など、プレミアムシステムでまずテクニクスに触れ、ハイレゾを味わってもらうのも良いのではないですかね。
それをきっかけに音楽の世界にもっと興味を持って、さらに上のクラスのオーディオを楽しみたい、リファレンスシステムのような機器に挑戦してみたい、と考えるようになるのも、オーディオの世界の面白さかもしれませんね。

―オーディオルームをお持ちの方はもちろんですが、リビングルームで音楽を楽しみたい方にもプレミアムシステムは良いかもしれないですね。

和田さん 大きな一戸建てに住むのではなく、利便性や安全性の面からマンションなどの集合住宅に住まわれている上の世代の方が増えていると思います。昔は「お父さんの立派なリスニングルーム」でオーディオを楽しんでいた時代でしたが、今は家族が集まるリビングルームで一緒に音楽を楽しむ、という形も増えてきているでしょう。それぞれの住環境の中で、良い音・良い音楽を味わうということであれば、プレミアムシステムは大きさ的にも導入しやすいでしょうね。日常的にオーディオで良い音を楽しめる環境が作れるというのは、たぶん奥様にも喜ばれると思いますよ(笑)

和田博巳さん

実際に来て体験してほしいリスニングルーム
テクニクスの魅力を最大限に活かす天井の高さがポイント

―最後に、パナソニックセンター東京のリスニングルームの環境はいかがでしたか?

和田さん 素晴らしいです!天井が高い、というのがミソなんですよ。4mもあるんです。
なかなかこういうリスニングルームは、自分で用意することが難しいですからね。実際にパナソニックセンターに来てテクニクスを体験することをおすすめします。
でも本音を言うとね、もし高級な車を買うんだったら、家にきちんとしたリスニングルームを作る方が幸せになれると思うんですよね。個人的な意見ですけれど(笑)。毎日良い音楽を聴いて生活できることで心が豊かになりますから。

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